需給動向 国内 |
7月の冷凍品輸入量、スペインが初の1万トン超え |
平成29年7月の豚肉需給を見ると、生産量は、6万6237トン(前年同月比2.2%減)と前年同月を3カ月ぶりに下回った。輸入量は冷蔵品、冷凍品ともに前年同月を上回り、7万4465トン(同12.6%増)と前年同月をかなり大きく上回った。推定出回り量は前年同月をわずかに上回る14万5783トン(同2.8%増)となり、推定期末在庫は前月から5147トン取り崩し、17万6069トン(同2.2%増)と、前年同月をわずかに上回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
主にハム・ソーセージなどの加工原料用として使用される冷凍品の平成29年7月の輸入量は4万4283トン(前年同月比15.3%増)と前年同月をかなり大きく上回った。冷凍品は米国、カナダの他に、メキシコ、チリ、デンマーク、スペインなど多くの国から輸入されているが、特にEUからの輸入が6割を占めている(図4)。近年、EUのうち最大の調達先であったデンマークにおいては、厳しい環境規制と子豚の生体輸出増加に伴い、現地の生産量が減少している。そうした中、カット技術の向上などにより、日本の求めるスペックの製品を提供できるようになったスペインからの輸入が増加しており、7月は1万879トン(同41.6%増)と初めて1万トンを超える量となった。さらに、4〜7月の累計輸入量では、オランダ、ドイツなども前年同期を上回って推移しており、デンマークの代替需要として今後も他のEU諸国からの輸入は増加傾向で推移するものと予想される。
こうした状況の中、推定期末在庫は、5月に18万2202トンまで積み増していたものの、その後は取り崩しに転じ、7月は17万6069トン(前年同月比2.2%増)となった(図5)。このうち、国産品は、1万4458トン(同22.7%減)と前年同月を大幅に下回った一方、輸入品は、16万1611トン(同5.3%増)と前年同月をやや上回った。例年、年末に向けて推定期末在庫は減少傾向で推移していくが、29年度は輸入量も増加傾向で推移しており、在庫水準が高くなっているとの声も聞かれることから、今後の在庫水準に注視する必要がある。
(畜産需給部 小林 智也)