需給動向 国内

◆牛 肉◆

冷凍牛肉、21年ぶりにセーフガード発動


平成29年6月の牛肉需給を見ると、生産量は2万6025トン(前年同月比0.7%増)と4カ月連続で前年同月を上回った。品種別では、和牛が1万1123トン(同0.3%減)、乳用種が7745トン(同6.8%減)と前年同月をかなりの程度下回ったものの、交雑種は酪農家での黒毛和種交配率の上昇により6818トン(同13.4%増)と12カ月連続で前年同月を上回った。

輸入量は冷蔵品が、4カ月連続で2万トン超えの2万3349トン(同10.2%増)と前年同月をかなりの程度上回り、冷凍品も2万6794トン(同47.7%増)と2カ月連続で前年同月を大幅に上回ったことから、全体では5万202トン(同27.5%増)となった。

推定出回り量は、前年同月を大幅に上回る7万3011トン(同17.7%増)となり、推定期末在庫は前月から3018トン積み増し、10万8356トン(同11.7%減)と18カ月連続で前年同月を下回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

冷凍牛肉の関税率、セーフガード発動で年度末まで50%に引き上げ

冷凍牛肉の第1四半期(4〜6月)輸入量は、主に現地相場安で米国産の輸入が増加したことや中国の米国産牛肉輸入解禁報道を受け、先高懸念から一部業者による輸入が急増したことにより、8万9253トン(前年同期比17.1%増)の大幅増となった(図1)。

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このため、財務省が7月31日に告示した29年度第1四半期(4〜6月)の冷凍牛肉の輸入量は、関税緊急措置(以下「セーフガード」という。)の発動基準数量(8万9140トン)を超過したことに加え、協定対象外の国(豪州、メキシコやチリ以外)からの輸入量も前年同期比117%を超えたことから、セーフガードが発動となった。この措置により29年8月1日から30年3月末まで、米国、カナダ、ニュージランド、EUなどからの冷凍牛肉については、関税率が38.5%から50.0%へ引き上げられる。今回の関税率引き上げに伴い、今後の冷凍牛肉の輸入動向と冷蔵品へシフトするなどの影響がないかについて、注視していく必要がある。

なお、機構では今回のセーフガード発動を受け、輸入牛肉卸売価格情報に新たに調査品目を追加し、業界や消費者の方などへ情報を提供している(https://www.alic.go.jp/r-nyugyo/raku02_000068.html)。

米国向け牛肉輸出量、低関税枠数量を超過

日本から海外への牛肉輸出量は、1〜6月で1076トン(前年同期比52.4%増)と大幅に増加した。輸出先国を見ると、香港が353トン、次いで米国が201トンとなった。このため米国が設けている日本産牛肉の低関税枠(200トン)を越えたことから、今後、関税率は1キログラム当たり4.4セントから1キログラム当たり26.4%が適用される。輸出増の要因は、日本畜産物輸出促進協議会などが中心となって海外プロモーションなどを行ってきたことで、年々、和牛を含めた日本産牛肉の評価が高まってきていることが挙げられる。

平成28年度の牛肉自給率、前年度から2ポイント低下の38%に

平成28年度の牛肉自給率(枝肉重量ベース)は、国内生産量が46万3000トン(前年度比2.5%減)、輸入量が75万2000トン(同8.0%増)とかなりの程度増加し、国内消費仕向量が123万1000トン(同3.9%増)となった結果、前年度から2ポイント低下の38%となった。牛肉自給率は、昭和50年代まではおおむね70%を上回って推移し、平成3年度の輸入自由化により輸入量が大幅に増加した結果、7年度には39%にまで落ち込んだ。

その後、米国での牛海綿状脳症(BSE)の発生により、15年度に米国産牛肉の輸入停止措置がとられたことで輸入量が急減し、44%まで回復した。以降、18年8月には米国産の輸入停止措置が解除され、25年2月には月齢制限緩和措置がとられたものの、BSE発生前の水準までの輸入量の回復が見られなかったこともあり、40%台前半で推移していた。

また、飼料自給率を考慮した牛肉自給率は、輸入飼料依存度が比較的高いことから、平成6年度以降は11〜12%で推移しており、28年度は、純国産粗飼料自給率が前年から27%と減少したことから、前年度から1ポイント低下して11%となった(図2)。

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なお、国民1人・1年当たりの供給純食料(精肉ベース)は、前年度よりも0.2キログラム増え、6.0キログラム(同4.1%増)となった。

(畜産需給部 山神 尭基)


				

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