需給動向 海外

◆米 国◆

上半期フィードロット導入頭数は大幅増、牛肉輸出も堅調


上半期フィードロット導入頭数は2003年以来の高水準

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2017年7月21日に公表した「Cattle on Feed」によると、6月のフィードロット導入頭数は前年同月比16.1%増の177万頭と、前年同月を大幅に上回った。飼料穀物価格が安値で推移する中、堅調な肥育牛需要を背景に肥育牛価格は5月まで上昇傾向にあったため、収益性が向上したフィードロットの肥育もと牛導入意欲は高まっていた。また、米国の中央北部で発生している干ばつにより、サウスダコタ州やネブラスカ州のフィードロットで導入頭数が増加したことも一因とみられる。

こうしたことから、2017年上半期(1〜6月)の導入頭数は1152万9000頭(前年同期比10.2%増)となり、2003年以来の高水準となった(図1)。

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独立記念日を過ぎ、卸売価格は下落

7月4日の独立記念日が過ぎ、バーベキューをはじめとする牛肉需要が減退したことに伴って牛肉卸売価格は下落した。米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が2017年7月27日に公表した「Wholesale Prices」によると、7月の牛肉卸売価格(速報値)は100ポンド当たり218.25米ドル(1キログラム当たり534円:1米ドル=111円)と、前月からかなりの程度下落したものの前年同月を6.5%上回った(図2)。

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1〜5月の牛肉輸出量は大幅増

USDA/ERSによると、2017年5月の牛肉輸出量は10万2564トン(前年同月比3.2%増)となり、2016年7月以降11カ月連続で前年同月を上回った(表1)。この要因としては、堅調な牛肉生産と、これに伴う価格競争力の高まりや、米ドル安が挙げられる。

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同月の輸出量を主要輸出先別にみると、韓国向けは同6.0%減の1万6699トン、メキシコ向けは同3.5%減の1万5908トン、カナダ向けは同29.6%減の1万113トンと前年同月を下回ったものの、日本向けは同9.9%増の3万656トン、香港向けは同29.4%増の1万1183トン、台湾向けは23.3%増の4826トンと前年同月を上回った。また、1〜5月の期間でみると、輸出量は前年同期比16.1%増の49万6841トンとなり、日本向けは同30.2%増の14万9488トンであった。

中国向け輸出が解禁

6月12日、米中両国は米国産牛肉の中国向け輸出に合意した旨を条件の詳細とともに公表した。2003年12月の停止以来、約14年ぶりとなる牛肉輸出は既に同月から開始されている。今回輸出可能とされた牛肉製品には、30カ月齢未満の牛由来の骨付き・骨なし牛肉に加え各種の内臓肉などが含まれる。

USDAは、トレーサビリティや成長促進剤の不使用といった中国側の要求を考慮すると、米国の享受する恩恵は短期的には限定的であるとしているが、今後の所得の向上などによって中国内の牛肉需要拡大が見込まれることから、長期的にみれば米国産牛肉への需要は増加すると期待している。

(調査情報部 野田 圭介)


				

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