需給動向 国内

◆鶏 肉◆

6月の鶏肉調製品輸入量、過去最高を記録


平成29年6月の鶏肉需給を見ると、生産量は13万4342トン(前年同月比4.2%増)と前年同月をやや上回り、輸入量はブラジル産やタイ産の増加により、5万241トン(同11.3%増)と前年同月をかなり大きく上回った。推定出回り量は17万5931トン(同4.1%増)と前年同月をやや上回り、推定期末在庫は前月から8652トンを積み増したものの、15万1028トン(同10.0%減)と前年同月をかなりの程度下回った(財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

鶏肉輸入量、7カ月ぶりの5万トン超え

6月の鶏肉輸入量を国別に見ると、ブラジル産は3万6358トン(前年同月比4.9%増)と7カ月ぶりに前年同月を上回り、全輸入量に占める割合は72%となった。また、タイ産は1万1478トン(同35.9%増)と11カ月連続で前年同月を上回り、全輸入量に占める割合は23%となった。平成27年12月以降、在庫調整で輸入量が大幅減となった28年12月と29年1月を除き、輸入量は過去5カ年平均を上回って推移しており、6月は7カ月ぶりに5万トンを超えた(図5)。

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輸入価格(CIF)を国別に見ると、骨なし角切りもも肉など一次加工品の割合が高いタイ産は、ブラジル産と比べて高値となっており、両国産ともに最近は上昇傾向で推移しており、前年と比べると輸入環境は厳しい状況となっている。

鶏肉調製品輸入量、タイ産・中国産ともに大幅増

6月の鶏肉調製品(加熱処理された唐揚げ、焼き鳥、チキンナゲットなど)輸入量を見ると、コンビニチェーンのホットスナックや、弁当、総菜など鶏肉調製品を用いた商品が増えていることから、増加傾向で推移しており、4万4032トン(前年同月比19.1%増)と過去最高を記録した。国別に見ると、タイ産は2万6160トン(同18.7%増)と4カ月連続で前年同月を上回り、全輸入量に占める割合は59%となった。また、中国産は1万7499トン(同18.1%増)と4カ月連続で前年同月を上回り、全輸入量に占める割合は40%となった(図6)。

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輸入価格(CIF)を見ると、鶏肉に比べて約2倍の水準となっており、タイ産と中国産で価格差はあるものの、ともに同様のトレンドで推移している。

平成28年度の鶏肉自給率、前年度から1ポイント低下の65%に

平成28年度の鶏肉自給率(骨付肉重量ベース)は、国内生産量が154万5000トン(前年度比1.8%増)、輸入量が84万2000トン(同4.1%増)、国内消費仕向量が236万9000トン(同3.1%増)となった結果、前年度から1ポイント低下して65%となった(図7)。

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鶏肉の自給率は、近年、輸入量の増減を受けて変動を繰り返しながらも、7割弱と牛肉や豚肉と比べて高い水準で推移している。28年度は、輸入価格(CIF)の低下などにより、高水準の輸入量が継続したことから、自給率は前年度を下回ったとみられる。

また、飼料自給率を考慮した鶏肉自給率は、近年、一桁台で推移しており、28年度は純国内産濃厚飼料自給率が前年度と同じ14%であったことから、前年度と同率の9%となった。

なお、鶏肉の国民1人・1年当たりの供給純食料(正肉ベース)は、牛肉、豚肉を上回る13.0キログラム(同3.3%増)となった。

(畜産需給部 河村 侑紀)


				

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