需給動向 国内

◆鶏 卵◆

鶏卵相場、不需要期を迎え低下基調


鶏卵卸売価格(東京、M玉)は、平成29年3月以降、6月を除く全ての月で前年を上回って推移している。7月は夏場の不需要期を迎えたこともあり、前月から低下したものの、1キログラム当たり191円(前年同月比7円高)と前年同月をやや上回った(図10)。

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鶏卵の卸売価格は、例年、春から夏場の気温の上昇に伴って低下し、夏場の不需要期に底を迎えるという動きを示す。本年においても、供給面では、暑さによる卵重低下で小玉傾向が見られる一方、需要面では、梅雨入り以降、夏場にかけてテーブルエッグ、加工・業務用ともに需要が鈍化し、例年通り下げ基調で推移している。

今後、供給面では、厳しい残暑を過ぎると、卵重が回復すると考えられ、順調な生産が期待される。また、需要面では、学校給食の再開や、大手ファストフードやコンビニチェーンなどの鶏卵を使用した商品展開などにより、消費の回復が期待され、鶏卵相場は例年通り冬場に向けて上昇するとみられる。

6カ月ぶりに鶏卵価格差補塡事業が発動

(一社)日本養鶏協会は8月1日、鶏卵生産者経営安定対策事業のうち、鶏卵価格差てん事業に係る7月の補塡額(注1)を1キログラム当たり0.936円と発表した。

この事業は、当該月の標準取引価格(規格卵(注2)における1キログラム当たりの加重平均価格)が補塡基準価格を下回った場合、その差額の9割を生産者に補塡するものである。7月は標準取引価格(185.96円)が補塡基準価格(187円)を1.04円下回ったことから、29年1月以来6カ月ぶりに発動されることとなった。

例年夏場は、鶏卵相場が低迷するため発動することが多く、7月としては2年連続で補塡金が支払われることとなった。

注1:補塡額とは、標準取引価格と補填基準価格の差額(補填基準価格と安定基準価格との差額を上限とする)の9割のことをいう。

 2:規格卵とは、JA全農たまご株式会社の東日本営業本部および西日本営業本部において販売された、鶏卵規格取引要綱に定める箱詰鶏卵規格およびパック詰鶏卵規格に定める全種類の鶏卵のことをいう。

平成28年度の鶏卵自給率、前年度より1ポイント上昇の97%に

平成28年度の鶏卵自給率(殻付重量ベース)は、国内生産量が256万2000トン(前年度比0.7%増)、輸入量が9万5000トン(同16.7%減)、国内消費仕向量が265万3000トン(同0.1%減)となった結果、前年度より1ポイント上昇し97%となった。

昭和60年度と比較して畜産物の自給率(重量ベース)が軒並み低下している中、鶏卵自給率は、41年度まで100%(完全自給型)を超えていたものの、その後、半世紀にわたって90%台後半の水準を維持している。

この自給率の高さは、特に日本における生食文化を念頭において、諸外国に比べ極端に短い賞味期限が設定されていることに加え、卵の殻が割れやすく、長距離輸送に適さないこと、さらに加工・業務用として用いられる乾燥卵、液卵においても、輸入品に対して国産品がある程度価格競争力を有することが大きいとみられる。

また、飼料自給率を考慮した鶏卵自給率は、約40年間にわたって10%台前半での推移が続いており、28年度は3年連続の13%となった。

なお、国民1人・1年当たりの供給純食料(重量ベース(付着卵白および殻を除く))は前年度並みの16.9キログラム(同0.1%増)となった(図11)。

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(畜産需給部 河村 侑紀)


				

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