需給動向 海外

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乳価は依然として高止まり、生乳出荷量は回復の見込み


生乳出荷量、加盟国によりまちまち

欧州委員会によると、2017年5月の生乳出荷量(EU28カ国)は、前年同月並みの1418万トンとなった(図16)。

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加盟国別に見ると、EU最大の生乳出荷国であるドイツ(同2.5%減)、第2位のフランス(同2.9%減)が減産となった一方、第5位のポーランド(同3.1%増)、第6位のアイルランド(同7.3%増)が増産となるなど、加盟国間でまちまちとなっている(表9)。

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2017年1〜5月の累計では、前年同期比1.1%減となった。欧州委員会は、7月に公表した短期的需給見通しの中で、2017年通年の生産量を、生乳取引価格が堅調に推移し、1頭当たり乳量が増加することなどから、前年比0.7%増と見込んでいる。

乳価は横ばいが続く

欧州委員会によると、2017年6月の平均生乳取引価格(EU28カ国)は、前年同月比29.2%高の100キログラム当たり33.23ユーロ(1キログラム当たり43.53円:1ユーロ=131円)となった(図17)。

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同価格は、2016年8月以降、乳製品需要の高まりなどから一気に上昇し、同年12月に同33ユーロ台まで到達したが、その後は横ばいで推移している。バターやチーズの輸出需要は強いものの、脱脂粉乳の公的在庫が35万トン積み上がっていることにより、同価格の上昇は抑制されている。

乳製品、バター価格の高騰続く

欧州委員会によると、2017年7月24日の週のバター平均卸売価格(EU28カ国)は、前年同期比88.9%高の100キログラム当たり583.4ユーロ(7万6425円)となった(図18)。同価格は、世界的な乳脂肪分に対する需要の高まりなどから、2016年6月ごろから上昇し、現在では記録的な高値となっている。

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同週の脱脂粉乳平均卸売価格は、アジア向けを中心とした堅調な輸出需要があるものの、同5.2%高の181.4ユーロ(2万3763円)と、公的買入価格(同169.8ユーロ(2万2244円))をわずかに上回る程度の安値で推移しており、バター価格との差は、かつてないほど大きくなっている。

同週のチーズ平均卸売価格は、同29.8%高の同357.5ユーロ(4万6833円)となった。同価格は、バター同様にEU域内外からの需要が高く、堅調に推移している。

(調査情報部 大内田 一弘)


				

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