需給動向 国内 |
平成29年6月の生乳生産量は、61万4466トン(前年同月比1.9%減)と10カ月連続で前年同月を下回った(図8)。内訳を見ると、北海道が32万8075トン(同2.6%減)、都府県が28万6391トン(同1.1%減)といずれも減少した。北海道では、主要産地である帯広や北見地域などで前月に比べ減少幅が拡大した。
用途別生乳処理量を仕向け先別に見ると、牛乳等向けは34万7332トン(同0.9%減)と前年同月をわずかに下回り、乳製品向けも26万3078トン(同3.2%減)と12カ月連続で前年同月を下回る結果となった(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。
6月の乳製品生産量を見ると、脱脂粉乳は9452トン(前年同月比1.6%減)、バターは4854トン(同10.0%減)とともに減少した。脱脂粉乳の減少幅がバターに比べて小さいのは、クリームの生産が増える中、同時に生産される無脂乳固形分が脱脂粉乳へ仕向けられているためとみられる。
同月の脱脂粉乳の期末在庫量(民間在庫量と機構在庫の合計)は、民間在庫量の減少により前年同月より8.1%下回るものの、機構による輸入が増加していることから、5万4002トンと5万トンを上回る水準となった(消費量の約4.8カ月分)。一方、バターの期末在庫量は、機構が輸入入札を毎月実施していることや、夏場は不需要期にあるため、2万8324トン(同1.8%増)とわずかに前年同月を上回り、3万トンに近づく水準となった(同約4.5カ月分)。また、機構調べの形態別バター需給表(国内乳業メーカー等13社の集計)を見ると、バラバターに加え、ポンド・シート等バターの在庫量は過去3ヵ年平均を大幅に上回る水準となっており、今後の需要期に向けて、十分な在庫水準にあるとみられる。
一般社団法人Jミルクが平成29年7月25日に公表した「平成29年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと当面の課題」によると、平成29年度の生乳生産量は、5月時の公表から北海道の生産見通しがわずかに下方修正されたことから、前年度比1.6%減の723万2000トン(北海道388万トン(前年度比0.4%減)、都府県335万1000トン(同2.9%減))と見込まれている(表2)。今年の夏は、全国的に平年よりも気温が高くなるとの予報があることに加え、昨年度のように台風などの自然災害の懸念もあることから、今後の生産動向に注目が集まっている。
平成28年度の牛乳・乳製品の自給率(生乳換算ベース)は、国内生産量が734万6000トン(前年度比0.8%減)、輸入量が455万4000トン(同1.7%減)、国内消費仕向量が1190万4000トン(同0.1%増)となった結果、前年度同の62%となった(図9)。
また、飼料自給率を考慮した牛乳・乳製品自給率は、純国内産粗飼料自給率が前年度から1ポイント減少したことを受け、27%と前年度並みとなった。
なお、牛乳・乳製品の国民1人・1年当たりの供給純食料は、生乳換算で前年度より0.2キログラム増加し、91.3キログラム(同0.3%増)となった。
(需給業務課 山神 尭基)