需給動向 海外

◆チ リ◆

輸出量は回復傾向


生産量は減少

チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)によると、2017年1〜5月の豚肉生産量について、豚と畜頭数が前年同期比4.9%減の203万9128頭とやや減少したことに加え、1頭当たり枝肉重量が同1.2%減の98.7キログラム(注)とわずかに減少したことから、同6.0%減の20万1803トン(枝肉重量ベース)とかなりの程度減少した(図8)。2012年に最大手の大規模養豚施設が環境問題による近隣住民の反対により閉鎖して以降、飼料原料価格が安価に推移したことで生産量が増加した2015年を除いて、減産傾向が続いている。

(注) チリの豚枝肉は、通常、頭・皮付きであるため、1頭当たり枝肉重量は日本の1.3倍程度が目安。出荷体重の平均は120キログラム前後。

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ロシア向け輸出が大幅に回復

2017年1〜6月の冷蔵および冷凍豚肉輸出量は、前年同期比6.6%増の6万4864トン(製品重量ベース)と、かなりの程度増加した(表6)。国別にみると、ロシア向けが、原油安などによる購買力の低下で大幅に減少した前年同期からの反動で同32.7%増と大幅に回復した他、コスタリカ向けも同167.4%増と大幅に増加した。

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最大の輸出先である中国向けは、同5.6%増の2万433トンとなった。この要因としては、中国の豚肉輸入はかなり大きく減少したものの、価格優位性が強いチリ産への需要が高まったことが挙げられる。しかし、チリの豚肉生産量の94%を占める企業が加盟するチリ豚肉生産者協会は、2017年の下半期における中国からの需要は一服すると見込んでおり、その影響を懸念している。

国内では安価な外国産豚肉需要が増加

一方、2017年1〜6月の冷蔵および冷凍豚肉輸入量は、前年同期比57.3%増の3万2634トン(製品重量ベース)と、過去最高の水準となった(表7)。国別にみると、米国産が、前年同期比211.9%と大幅に増加し、シェアは前年同期を18.9ポイント上回る38.2%と最大となった。近年、人口増加と経済成長に伴い国内需要が拡大しており、安価な外国産豚肉の輸入を増やし、ハムやソーセージなどに仕向ける傾向が強まっている。

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(調査情報部 佐藤 宏樹)


				

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