需給動向 国内

◆豚 肉◆

豚肉輸入量は8カ月連続で前年同月を上回る



平成29年6月の豚肉需給を見ると、生産量は7万1476トン(前年同月比0.2%増)と前年同月並みとなった。輸入量は7万9990トン(同5.8%増)と前年同月をやや上回った。輸入量のうちテーブルミートとして消費されることの多い冷蔵品は、カナダからの輸入量が大幅に増加し、3万3508トン(同8.2%増)と前年同月を8カ月連続で上回り、2カ月ぶりに3万トン超えとなった。また、主に加工業務用として使用される冷凍品も2カ月連続で前年同月を上回る4万6481トン(同4.2%増)となった。推定出回り量は前年同月をやや上回る15万2386トン(同5.2%増)となり、推定期末在庫は前月から986トン取り崩したものの、18万1216トン(同0.5%増)と、前年同月をわずかに上回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

冷蔵品、カナダ産のシェア拡大傾向続く

冷蔵品は、米国とカナダからの輸入量が9割以上を占めており、両国の需給動向に左右される。4月時点で現地の生産量が増加基調となっていることから、現地相場安が続いており、輸入業者にとって冷蔵品を買い付けしやすい環境にあると思われる。また、国内では牛肉の小売価格上昇に伴い価格優位性のある豚肉に需要がシフトし、消費が好調に推移していることも冷蔵品の輸入を押し上げる要因となっている。

こうした中、冷蔵品におけるカナダ産のシェアは、27年度は37%となっていたが、28年度は40%、29年度第1四半期(4〜6月)には43%と拡大傾向で推移している(図3)。近年、カナダでは、豚肉の品質向上に取り組んでおり、肉質重視などの理由から、小売業者がカナダ産を選択する動きも見られることなどがシェア拡大につながっていると推測される。

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平成28年度の豚肉自給率は、前年度から1ポイント低下の50%に

平成28年度の豚肉自給率(枝肉重量ベース)は、国内生産量が127万7000トン(前年度比0.7%増)、輸入量が129万トン(同5.5%増)、国内消費仕向量が255万2000トン(同2.0%増)となった結果、前年度より1ポイント下がり50%となった(図4)。

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昭和40年度に100%であった豚肉の自給率は、46年度の輸入自由化に伴い、変動を繰り返しながらも徐々に低下傾向で推移し、平成11年度以降50%台となっている。近年は、国内生産量はほぼ横ばいで推移していたものの、豚流行性下痢(PED)発生などの影響を受け減少したことに加え、国産品の代替需要などもあり、輸入量が増加したことから、28年度は、17年度以来の50%となった。

また、飼料自給率を考慮した豚肉自給率は、鶏と同様に輸入飼料依存度が高いことから、平成2年度以降は5〜7%で推移しているが、28年度は飼料自給率が27%と1ポイント低下したものの、前年度と同率の7%となった。

なお、国民1人・1年当たりの供給純食料(精肉ベース)は、前年度よりも0.2キログラム増え、12.4キログラム(同2.1%増)となった。

(畜産需給部 小林 智也)


				

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