需給動向 海外

◆米 国◆

生産、輸出が堅調に推移する中、ばら肉卸売価格が高騰


上半期豚肉生産量は前年同期比2.9%増

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が7月20日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2017年6月の豚と畜頭数は986万9600頭となり、前年同月を3.2%上回った。一方、1頭当たり平均枝肉重量(連邦検査ベース)は前年同月比1.4%減の94.3キログラムとなり、2015年4月以降、前年同月以下の水準で推移している。この背景には、成長促進剤や抗生物質の使用を減らしていることなど、生産現場における変化があるとみられる。

こうしたことから、6月の豚肉生産量は前年同月比2.0%増の93万1200トンとなり、上半期(1〜6月)としては前年同期比2.9%増の569万800トンとなった(図5)。生産者の増頭意欲は高く、繁殖豚頭数が前年を上回って推移している上、1腹当たり産子数も増加傾向で推移していることから、USDAは今後の豚肉生産量について、2017年下半期(7〜12月)は同4.3%増の602万8237トン、2018年上半期は同2.9%増の585万8140トンと、増加傾向で推移すると予測している。

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豚肉輸出量は前年をかなり上回って推移

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2017年5月の米国の豚肉輸出量は23万3435トンとなり、前年同月を12.3%上回った(表4)。主要輸出先別にみると、国内豚肉価格が下落傾向にある中国への輸出が大幅に減少した一方、もも肉や内臓肉の需要が堅調なメキシコ向けや、米国産豚肉加工品への引き合いが強い韓国向けが大幅に増加した。最大輸出先であるメキシコ向けが総輸出量に占めるシェアは、2017年1〜5月では31.1%となり、前年同期を2.9ポイント上回った。

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なお、メキシコ向け輸出の内訳をみると、最も多い部位は生鮮・冷蔵のもも肉・肩肉であり、米国農務省海外農業局(USDA/FAS)の貿易統計によれば、2017年1〜5月は18万6117トンであった。これは、同期間に米国が輸出したもも肉・肩肉の総量の大半を占めている(表5)。

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ばら肉の卸売価格が高騰

国内外の強い需要を背景に、ベーコンの原料となるベリー(ばら肉)の在庫取り崩しが顕著である。USDA/NASSが7月24日に公表した「Cold Storage」によると、2017年6月のばら肉在庫量は前年同月比64.6%減の1万111トンとなり、2016年11月以降8カ月連続で前年同月を大幅に下回って推移している(図6)。

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このため、USDA/ERSが7月27日に公表した「Wholesale Prices」によると2017年7月のばら肉卸売価格(速報値)は、前年同月比43.2%高の100ポンド当たり210米ドル(1キログラム当たり514円:1米ドル=111円)と高騰し、これに伴って同月の豚肉卸売価格(カットアウトバリュー)も同94米ドル(同230円)と、前年同月を7.1%上回った(図7)。

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(調査情報部 野田 圭介) 


				

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