需給動向 海外

◆豪州◆

2017年牛肉生産、穀物肥育が増加


2017年牛肉生産量、1頭当たり枝肉重量の増加により前年を上回る

豪州統計局(ABS)によると、2017年12月の成牛と畜頭数は、50万4500頭(前年同月比2.8%減)と減少した。1頭当たり枝肉重量が増加した結果、同月の牛肉生産量は、15万762トン(同0.4%減)とわずかな減少にとどまった。

2017年の成牛と畜頭数は、715万8585頭(前年比1.8%減)とわずかに減少した。5月までは、牛群再構築のための雌牛保留などにより前年同月比で減少したものの、6〜10月にかけては、繁殖基盤の回復や乾燥気候によると畜頭数の増加により、前年同月を上回って推移した。その後、他州よりも飼養頭数の増加が遅れているクイーンズランド(QLD)州で、10月の良好な降雨により牛群再構築のための雌牛保留などの動きがみられた。一方、1頭当たり枝肉重量は、と畜に占める穀物肥育牛の割合の増加、雌牛の割合の減少により、298キログラム(同3.2%増)と過去最高を記録した。

この結果、2017年の牛肉生産量は、213万215トン(同1.4%増)とわずかに増加した(図7)。

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肉牛取引価格、降雨を受けて上昇の兆しも

豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、2017年11月以降、おおむね横ばいで推移したものの、今年1月から下落傾向に転じ、2月20日時点では1キログラム当たり520豪セント(447円:1豪ドル=86円)と、1月上旬から40豪セント(34円)程度、前年同期比では100豪セント(86円)程度下落した(図8)。これは、市場取引頭数が増加していることに加え、乾燥気候により牧草肥育業者の導入意欲が弱まったことが影響しているとみられる。ただし、2月の最終週に一定量の降雨があったことで、2月末時点では537豪セント(462円)と上昇に転じた。MLAによると、例年、3月から5月にかけて肉牛取引価格は下落する傾向にあるが、2月末の降雨を受けて、牧草肥育業者からの需要増や、QLD州で雌牛保留などの動きもみられることから、同価格が上昇する可能性もあるとしている。一方、豪州気象局によると、向こう3カ月は、例年より温暖で乾燥した天候になるとされていることから、MLAは、2018年後半にかけて500豪セント(430円)を下回る水準まで下落する可能性もあるとしている。

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フィードロット飼養頭数、100万頭を下回る

豪州フィードロット協会(ALFA)とMLAは2月22日、共同で四半期ごとに実施している全国フィードロット飼養頭数調査の結果(2017年10〜12月)を公表した。これによると、2017年12月末のフィードロット飼養頭数は、97万3176頭(前年比4.0%増)と前年比では増加したものの、前回調査時(2017年9月末)からは減少し、2017年では初めて100万頭を下回った。

ALFAは、フィードロット飼養頭数が前回調査時から減少した要因として、10月以降、肥育もと牛需要増に伴う生体牛価格の上昇や、小麦や大麦などの減産による穀物価格の上昇により、穀物肥育業者の収益が圧迫されていることを挙げている。

一方、2017年の穀物肥育牛のと畜頭数は、289万4030頭(前年比9.9%増)とかなり増加し、2015年に次ぐ過去2番目の水準となった(図9)。この結果、と畜頭数全体に占める穀物肥育牛の割合は、40.0%と過去最高水準となった。これは、2017年前半は、穀物価格が低下していたことや牧草環境が悪化したことに伴うフィードロットへの導入増や、日本、中国などアジアを中心とした穀物肥育牛肉への需要増が背景にあるとみられる。

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(調査情報部 大塚 健太郎)


				

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