需給動向 海外 |
◆カナダ◆
生体牛輸入増も、牛肉輸出は増加
カナダ統計局(Statistics Canada)が3月6日に公表した牛の飼養動向調査によると、2018年1月1日時点の総飼養頭数は前年比0.9%増の1162万5000頭となった(表1)。区分別に見ても総じて前年比をわずかに上回っているが、牛群再構築の指標となる肉用繁殖後継牛頭数のみ、前年をわずかに下回った。
カナダ肉用牛生産者協会(CCA)の畜産物市況部門であるCanFaxによると、肥育もと牛価格は2017年5月以降、9カ月連続で前年を上回って高値で推移している。こうした中、米ドルに対しカナダドル高で推移する為替相場などを背景に、供給頭数が増加している米国の安価な肥育もと牛を輸入する動きが強まったことから、Statistics Canadaによると、2017年の米国産生体牛輸入頭数は、前年比約4.5倍の13万8339頭となった(図5)。なお、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によれば、これらの多くは肥育もと牛やと畜場直行牛が占めているとされる。
州別にみると、最も多く輸入しているのはアルバータ州であり、同州は全体の53%を占めた。このことについて、米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は、2017年下半期以降、オンタリオ州の肥育業者がサスカチュワン州産やマニトバ州産の肥育もと牛を買い占める動きが強まった結果、アルバータ州が米国産を輸入せざるを得なくなっている可能性を指摘している。USDA/FASによると、オンタリオ州の肥育業者は、高品質な遺伝資源を有する肥育もと牛の安定的な調達先として、これら2州からの買い取りを強化しているとされる。
CanFaxによると、2017年のと畜頭数(連邦検査ベース)は、前年比6.9%増の283万1766頭となり、2012年以降で最多となった(図6)。また、1頭当たり枝肉重量は、肥育牛価格が堅調に推移していることに伴う早期出荷などから前年を下回る水準で推移している。これらの結果、同年の牛肉生産量は前年を4%上回ると見込まれている。
と畜頭数を種類別にみると、去勢牛は149万9887頭(前年比2.3%増)であった一方、未経産牛は86万6047頭(同11.4%増)、経産牛は44万6962頭(同14.1%増)と、雌牛がかなり増加した。
Statistics Canadaによると、2017年の牛肉輸出量は前年比5.7%増の37万9949トン(製品重量ベース)と、2013年以降5年連続で前年を上回った(表2)。輸出先別に見ると、最大輸出先である米国は前年比3.9%増の28万305トンであった。また、日本向けは同27.6%増と前年を大幅に上回ったことから、香港を抜いて第2位の輸出先となった。この背景には、業界主導の対日プロモーションなどが奏功したことがあるとみられる。
カナダ農務・農産食品省(AAFC)によると、2017年の牛肉輸入量は前年比6.9%減の17万7046トンとなった(表3)。主要国別に見ると、最大輸入先である米国は12万1510トンと前年をわずかに下回った一方、豪州は前年比28.0%減、ウルグアイは同26.6%減と、それぞれ大幅に減少した。
(調査情報部 野田 圭介)