需給動向 海外 |
◆ブラジル◆
2017年の鶏肉輸出量、昨年からわずかに減少
ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、2017年の冷蔵・冷凍鶏肉輸出量は、前年比0.4%減の394万4215トン(製品重量ベース)と過去最高を記録した前年をわずかに下回った(表7)。食肉不正問題の影響で、4月が前年同月比22.5%減と大幅に減少したものの、その後は回復したことから、わずかな減少にとどまった。
輸出先別の輸出量を見ると、最大の輸出先であるサウジアラビア向けは、(1)同国の生産量の回復(2)2017年1月からの同国の輸入鶏肉関税の引き上げ(3)輸出量を伸ばしたエジプトとの競合により、前年比20.9%減と大幅に前年を下回った。また、第3位の中国向けも、食肉不正問題の影響に加え、同国の生産回復や在庫量の増加などから、前年から大幅に減少した。一方、第2位の日本向けは、底堅い需要を背景に同11.6%増となった。加えて、南アフリカやエジプトなど新興国向けも旺盛な需要を背景に大幅に輸出量を伸ばした。
ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)養鶏・養豚調査センター(CIAS)によると、最大の鶏肉生産州であるパラナ州における2018年1月のブロイラー生産コスト指数は、192.28と、5カ月連続で上昇した(図15)。同指数は、生産コストの7割を占める飼料の主原料であるトウモロコシの価格が、豊作により下落していたことから、2017年8月まで低下を続けていた。しかし、それ以降はトウモロコシ生産者が価格安から売り控えを行ったことで需給がひっ迫し、トウモロコシ価格が上昇したことから、これに併せて同指数も上昇している。
ブラジル動物性タンパク質協会(ABPA)が2017年12月に発表した2018年の生産・輸出予測によると、2018年の鶏肉生産量は、国内経済が回復基調にあり、消費増が生産を後押しすると見られることから、前年比2〜4%増と見込まれている。
鶏肉輸出量は同1〜3%増と見込まれている。鳥インフルエンザが発生している国からの輸入を停止した、欧州各国などからの代替需要の増加に加え、中東や中国向けの回復が予想されている。
このほか、2018年にさらなる輸出拡大が見込める市場としては、対米関係悪化で南米との関係強化を模索しているメキシコが挙げられている。同国向けは、国内輸出認定施設が16カ所追加され、21カ所に増加した2015年11月以降、加速的に増えており、2017年は、前年比60%増の9万4584トンと、輸出先国の上位10位に入っている(図16)。
(調査情報部 佐藤 宏樹)