需給動向 海外

◆米 国◆

2017年の鶏肉生産量は過去最高


2018年1月も増産を維持

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2018年2月26日に公表した「Poultry Slaughter」によると、2017年の鶏肉生産量は、前年比2.4%増の1889万8000トンと過去最高を更新した。堅調な需要に伴う生産者の増産意欲の高まりによるひなふ化羽数の増加や、飼料穀物価格が安値で推移したことおよび夏場が比較的冷涼な気候であったことなどによる1羽当たり生体重の増加が、増加の要因と考えられる。

また、1月のブロイラー処理羽数は、前年同月比3.0%増の7億7180万8000羽、1羽当たりの平均処理時生体重は、同1.0%増の2.84キログラムとなった。この結果、鶏肉生産量は、同4.0%増の165万トンとなった(図12)。

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メキシコ向け輸出はブラジル産との競合などで減少

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2017年の鶏肉輸出量は、前年比2.0%増の307万5000トンとなった(表6)。輸出先別に見ると、最大の輸出先であるメキシコは、同国内の増産に加え、ブラジルからの輸入が増加していることから、同6.5%減の60万トンとかなり減少した。一方、キューバおよびアンゴラは、同31.7%増、同52.7%増とそれぞれ大幅に増加した。また、台湾やフィリピンなどのアジア向けも堅調であった。

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むね肉を中心に冷凍在庫増加

USDA/NASSが2018年2月22日に公表した「Cold Storage」によると、2018年1月末時点の冷凍鶏肉在庫量は、前年同月比13.1%増の39万8000トンとなった(図13)。このうち、レッグクオータ―(注)は、アジア向けを中心に輸出が堅調なことから、同19.2%減の4万トンとなった。一方、国内消費が多いとされるむね肉は、生産量が需要を上回ったことから、同3.8%増の9万トンとなった。

(注) ブロイラーを4分の1にカットしたもの。ドラムスティックと上ももに背肉の半分が付着したもの。

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鶏肉卸売価格は高値で推移も、むね肉は安値

USDA/NASSが2018年2月27日に公表した「Agricultural Prices」によると、1月のブロイラーの生産者価格は、前年同月比8.2%高の1ポンド当たり53米セント(1キログラム当たり126円:1米ドル=108円)となった。

また、USDA/ERSによると、2月の鶏肉(丸どり(中抜き))卸売価格(速報値)は、国内外からの堅調な需要により同7.0%高の1ポンド当たり91米セント(同217円)と13カ月連続で前年を上回った。部位別に見ると、輸出が堅調なレッグクオータ―は、同14.9%高の同39米セント(同93円)となった。一方、むね肉は、同3.8%安の同104.75米セント(同249円)と前年同月を下回った(図14)。現地報道によると、むね肉の卸売価格は、春先の需要期まで安値で推移すると見込まれている。

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(調査情報部 渡邊 陽介)


				

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