需給動向 海外

◆豪 州◆

2018/19年度の牛肉生産・輸出量ともに増加見込み


成牛と畜頭数、乾燥した天候により大幅増

豪州統計局(ABS)によると、2018年4月の成牛と畜頭数は、前年同月が牛飼養頭数の減少や牛群再構築に伴う雌牛の保留により大幅に減少したことによる反動に加え、今年1月以降の乾燥した天候により牧草の生育が悪化し、牛群を縮小させる動きが出たことから、61万7600頭(前年同月比25.9%増)と大幅に増加した(図3)。この結果、同月の牛肉生産量(枝肉ベース)は、17万9890トン(同22.6%増)と大幅に増加した。

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と畜頭数の内訳を見ると、雄牛は29万頭3000頭(同11.5%増)、雌牛は32万4600頭(同42.4%増)と、雌牛が大幅に増加している。これにより、同月のと畜頭数全体に占める雌牛の割合は52.6%と、2016年6月以来22カ月ぶりに50%を上回った。重量の軽い雌牛の増加により、枝肉重量はわずかに減少した。雌牛のと畜頭数を州別に見ると、南オーストラリア州を除きすべての州で増加しており、中でもビクトリア州は、前年同月比で72.0%増と最も増加した。

牛肉輸出量、24カ月ぶりに単月で10万トンを上回る

豪州農業・水資源省(DAWR)によると、2018年5月の牛肉輸出量は、10万9700トン(前年同月比14.5%増)と、牛肉生産量の増加および主要な輸出先国からの需要の増加によりかなり増加し、単月の輸出量では、2016年5月以来24カ月ぶりに10万トンを上回った(表2)。

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2017/18年度(7月〜翌6月)の5月までの累計では、97万6994トン(前年同期比13.0%増)と、牛肉生産量の増加によりかなり増加した。

主要輸出先別に見ると、韓国を除きすべての輸出先向けで増加しており、中でも中国向けは、豪州の牛肉生産量の増加と中国からの堅調な需要により、前年同期比33.4%増と大幅に増加している。こうした状況により、6月の輸出量を合わせた同年度全体の輸出量は、2年ぶりに100万トンを突破することが確実となった。

2018/19年度牛肉輸出、中国向けを中心に増加見込み

豪州農業資源経済科学局(ABARES)は2018年6月18日、「Agricultural Commodities」の中で、2018/19年度(7月〜翌6月)の牛肉需給見通しを発表した。同見通しは、四半期に一度公表される。

これによると、2019年6月末時点の牛飼養頭数は、2780万頭(前年比2.6%増)と、3年連続の増加を見込んでいる(表3)。現在は乾燥した天候により、と畜頭数が増加しているものの、中期的に飼養頭数は増加局面にある。

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2018/19年度の牛と畜頭数は、牛飼養頭数の増加を背景に820万頭(前年度比3.7%増)と増加を見込んでいる。牛肉生産量は、雌牛のと畜割合の増加に伴い1頭当たり枝肉重量の低下が見込まれることから、230万5000トン(同2.5%増)とわずかな増加を見込んでいる。

牛肉輸出量は、生産量の増加により114万5000トン(同3.2%増)と見込んでいる。輸出先国別に見ると、米国向けは、同国における雌牛のと畜頭数が増加したことにより赤身率の高い牛肉の需要が減少することで、わずかに減少するとしている。一方、日本、中国、韓国向けはいずれも増加を見込んでおり、中でも中国は、所得の増加を背景に旺盛な輸入牛肉需要が継続するため、大幅に増加するとしている。日本向けは、日本国内の牛肉生産量の増加や米国産との競合により、冷蔵牛肉輸出は減少するものの、輸出単価の下落が見込まれる冷凍牛肉の輸出量が増加することで、全体では増加するとしている。

肉牛取引価格は、牛飼養頭数の増加に伴い市場での取引頭数が増加することにより、1キログラム当たり420豪セント(348円:1豪ドル=83円、同7.7%安)と、2年連続の下落を見込んでいる。

(調査情報部 大塚 健太郎)


				

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