需給動向 国内 |
平成30年5月の牛肉需給を見ると、生産量は2万6407トン(前年同月比3.9%増)と8カ月連続で前年同月を上回った。品種別では、乳用種が7578トン(同0.2%減)と前年同月並みとなったものの、和牛が1万1259トン(同4.8%増)と9カ月連続で、交雑種は酪農家での黒毛和種交配率の上昇により7223トン(同6.8%増)と23カ月連続でいずれも前年同月を上回った。
輸入量は冷蔵品が2万4890トン(同10.2%増)と前年同月をかなりの程度上回ったものの、冷凍品が2万9205トン(同13.5%減)と前年同月をかなり大きく下回ったことから、全体では5万4136トン(同4.1%減)と減少に転じた。
推定出回り量は、前年同月をやや下回る7万4518トン(同5.8%減)となり、推定期末在庫は前月から5755トン積み増し、10万4243トン(同1.0%減)と3カ月連続で前年同月を下回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
平成30年7月3日に農林水産省が公表した「畜産統計」によると、同年2月1日現在の肉用牛飼養戸数は、4万8300戸(前年比3.6%減)となった。昭和32年の調査開始以降、一貫して減少している。
飼養戸数を肉用牛飼養頭数規模別に見ると、20〜49頭の階層では増加に転じたものの、それ以外の全ての階層で減少となった。中でも、小規模層の1〜4頭は前年から800戸(同6.1%減)、5〜9頭は前年から680戸(同6.6%減)といずれも減少が目立った。小規模層を中心に離農が進行している要因としては、生産者の高齢化が進む中で後継者が不足していることなどが挙げられる。
一方、肉用牛飼養頭数は、2年連続で増加となる251万4000頭(同0.6%増)となり、中でも肉用種は170万1000頭(同2.2%増)となった。乳用種(交雑種を含む)は81万3000頭(同2.6%減)となった。乳用種の内訳として、昨年まで子牛価格高騰を受け酪農家での乳用牛への黒毛和種交配率が上昇していたことから、増加傾向で推移していた交雑種が51万7900頭(同0.7%減)と3年ぶりに減少し、ホルスタイン種他も29万5100頭(同5.7%減)と8年連続で減少した。
飼養頭数を肉用牛飼養頭数規模別に見ると、20〜49頭(同1.3%増)、100〜199頭(同0.4%増)および200頭以上(同2.0%増)を除く全ての階層で減少しており、中でも、1〜4頭(同12.6%減)は2桁減となった。
1戸当たり飼養頭数は、前年から2.1頭増加して52.0頭となり、引き続き生産の大規模化が進んでいる。なお、飼養戸数の4.6%を占める200頭以上の層が飼養する肉用牛の割合は、56.8%と前年から0.8ポイント増加した(図1、表1)。
肉用種の子取り用めす牛の飼養頭数は、前年から1万3100頭増加し、61万400頭(前年比2.2%増)と、3年連続で増加となった。地域別に見ると、全ての地域で増加となり、特に、四国(6800頭(同12.4%増))は飼養頭数も増加し、他の地域よりも増加率が高かった(表2)。これまで畜産クラスター事業をはじめ、さまざまな対策が講じられてきた中、子取り用めす牛飼養頭数は3年連続で増加しており、生産基盤は回復傾向にあるとみられる。
(畜産需給部 小林 智也)