需給動向 海外

◆米 国◆

牛肉生産量の増加などにより、輸出増、輸入減


雌牛のと畜頭数の増加が牛肉の増産を牽引

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2018年6月21日に公表した「Livestock Slaughter」によると、5月のと畜頭数は、前年同月比5.6%増の290万7500頭となった。内訳を見ると、去勢牛、未経産牛、肉用経産牛は、牛群再構築が一服したことなどから、それぞれ同1.2%増、同13.4%増、同15.5%増となり、特に雌牛で大きく増加した。乳用経産牛は、低迷する乳価による収益性の悪化などを背景とした淘汰の増加により、同3.2%増加した。

同月の一頭当たりの枝肉重量は、同1.0%増の362キログラムとなり、牛肉生産量は、同6.6%増の104万6000トンとなった(図1)。

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今後の牛肉生産量についてUSDAは、各四半期ともに前年同期を上回るとしており、2018年合計では前年比3.6%増の1230万4000トンと見込んでいる。

4月の日本向け輸出量は前年同月比8.8%増

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2018年4月の牛肉輸出量は、前年同月比16.1%増の11万5000トンとなった(表1)。

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輸出先別に見ると、日本向けは、4月から関税緊急措置が解除されたことなどにより、同8.8%増の3万1000トンとなった。韓国向けは、ステーキや調理済み食品などへの需要により、おおむね増加傾向で推移している中、同月は同63.1%増の2万3000トンとなった。中国・香港および台湾は、それぞれ同1.8%増、同19.0%増となった。

2017年6月に輸出が再開された中国は、2018年7月6日以降、米国産牛肉に追加関税を賦課するとしている。米国食肉輸出連合会(USMEF)は、現在の中国向け輸出量はわずかであるものの、追加関税が将来的な輸出拡大の可能性を損なうと懸念を表明している。

牛肉輸入量は2カ月連続で前年を下回る

USDA/ERSによると、米国の牛肉輸入量は、赤身率の高い牛肉(ひき材)への需要の増加と主要な供給国の牛肉生産が堅調なことなどから、2017年7月以降前年を上回って推移してきた。2018年4月は、国内で乳用経産牛などのと畜が増え、赤身率の高い牛肉の生産量が増加したことなどから、輸入量は前年同月比5.8%減の10万7000トンと、2カ月連続で前年を下回った(図2)。輸入先国別では、カナダ(同2.1%増、2万9000トン)、ニュージーランド(同10.9%増、2万1000トン)は増加したものの、豪州(同10.5%減、2万3000トン)、メキシコ(同22.2%減、1万5000トン)、ブラジル(同24.8%減、6000トン)は減少した。

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第2四半期の牛肉輸入量についてUSDAは、今後も赤身率の高い牛肉を中心に堅調な需要が続くことから、前年同期比0.9%増の37万2000トンと見込んでいる。

(調査情報部 渡辺 陽介)


				

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