需給動向 海外

◆米 国◆

種鶏羽数、ひなふ化羽数および平均処理時生体重の増加で増産見込み


鶏肉生産量は前年同月比2.3%増

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2018年6月に公表した「Poultry Slaughter」によると、5月のブロイラー処理羽数は、ひなのふ化羽数が増加傾向で推移していることにより、前年同月比1.3%増の7億9282万3000羽となった。同月の一羽当たり平均処理時生体重は、同1.1%増の2.83キログラムと13カ月連続で前年を上回った。種鶏羽数が増加している一方、種鶏一羽当たりのひなの生産性が低下していることから、生産者による生体重の増加意欲が高いとされる。これらにより、同月の鶏肉生産量は、同2.3%増の169万3000トンとなった(図8)。

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種鶏の飼養羽数およびひなふ化羽数がともに過去最高

USDA/NASSによると、2018年5月1日時点の種鶏の飼養羽数は、ブロイラー価格が堅調に推移していることなどから、前年同月比4.3%増の5931万2000羽と過去最高を記録した。また、5月のブロイラーひなのふ化羽数も、同2.2%増の8億3900万羽と過去最高を記録した(図9)。同月のひなふ化羽数の増加は、このひなが成長して処理される6月、7月の鶏肉生産量の増加に寄与するとみられており、第2四半期(4〜6月)の鶏肉生産量についてUSDAは、前年同期比1.9%増の481万5000トンと見込んでいる。また、2018年の鶏肉生産量は、前年比1.9%増の1925万5000トンと過去最高を見込んでいる。

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鶏肉卸売価格は今後も堅調の見込み

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、鶏肉(丸どり(中抜き))卸売価格は、堅調な輸出および国内需要により、2017年2月以降前年を上回って推移している。

2018年6月は、例年よりも温暖であったことによるバーベキュー需要が高まったことにより、前年同月比9.8%高の1ポンド当たり119.75米セント(1キログラム当たり296円:1米ドル=112円)となった(図10)。

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第3四半期(7〜9月)の鶏肉卸売価格についてUSDAは、季節変動に伴って下落傾向となるものの、同99〜105米セント(同244〜259円)と前年を上回ると見込んでいる。

メキシコの豚肉需要が鶏肉へシフトする可能性

USDA/ERSによると、2018年4月の鶏肉輸出量は、前年同月比12.9%増の26万4000トンとなった(表7)。輸出先別に見ると、最大の輸出先であるメキシコをはじめ、台湾、アンゴラ、キューバで前年を大幅に上回った。

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第2四半期(4〜6月)の輸出量は、鶏肉の増産に伴って、前年同期比7.5%増の78万9000トンと伸びるものと見込んでいる。

メキシコが米国産豚肉に課した報復関税により、今後、メキシコの豚肉価格が上昇し、需要が鶏肉へシフトする可能性があるとの見方もある。また、ブラジル産鶏肉との競合は続くと見込まれている。

(調査情報部 渡辺 陽介)


				

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