需給動向 国内 |
平成30年7月3日に農林水産省が公表した「畜産統計」によると、同年2月1日現在の採卵鶏の飼養戸数は、廃業などにより、前年から150戸減少して2200戸(前年比6.4%減)となり、減少傾向が続いている(図6)。
一方、飼養羽数は、1億8195万羽(同3.2%増)と増加した。このうち、成鶏めすは1億3903万6000羽(同2.2%増)となった。成鶏めす飼養羽数を飼養羽数規模別に見ると、飼養羽数10万羽以上の階層は、前年比3.4%増の1億451万5千羽となった(表9)。また、飼養羽数割合において、10万羽以上の階層は前年から0.9ポイント増加し、75.2%を占めるなど、大規模生産者の割合が伸びている。
1戸当たり成鶏めす飼養羽数は前年から5300羽増加し、6万3200羽となり、採卵鶏農家の大規模化が進展している
採卵鶏の飼養戸数を全国農業地域別に見ると、全ての地域で減少した。
また、成鶏めす飼養羽数は、北陸、近畿で減少したものの、主要産地の関東・東山、東北、中国、九州を含むその他の地域では増加する結果となった。
なお、成鶏めす飼養羽数の全国割合は、関東・東山が約4分の1(25.0%)を占めており、次いで、東海(14.4%)、東北(14.1%)、九州(13.6%)の順となっている(表10)。
平成30年6月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、前月に引き続き1キログラム当たり165円(前年同月比32円安)となった(図7)。
一方、(一社)日本養鶏協会は、平成30年6月26日の鶏卵の標準取引価格(規格卵(注1)
における1キログラム当たりの加重平均価格)が同164円となり、安定基準価格の同163円を上回ったため、同年4月23日から発動していた成鶏更新・空舎延長事業(注2)の対象となる成鶏の出荷期間が6月25日をもって終了したことを発表した。供給面では年明け以降のひなえ付け羽数が前年同月を上回って推移している中で、成鶏更新・空舎延長事業が発動されたが、需要面では気温の上昇に伴い家庭での消費が低迷する傾向にあることから、今後の鶏卵相場の状況が注目されている。
注1:規格卵とは、JA全農たまご株式会社の東日本営業本部および西日本営業本部において販売された鶏卵規格取引要綱に定める箱詰鶏卵規格およびパック詰鶏卵規格に定める全種類の鶏卵のことをいう。
2:鶏卵生産者経営安定対策事業のうちの一つであり、需給改善を図ることを目的とし、当該日の標準取引価格が安定基準価格を下回った30日前から安定基準価格を上回る日の前日までに、更新のために成鶏を出荷し、その後60日以上の空舎期間を設けた生産者に対して、奨励金を交付するもの。
(畜産需給部 岩井 椿)