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生乳出荷量の増加に伴い、乳価は下落傾向へ
欧州委員会によると、2018年4月の生乳出荷量(EU28カ国)は、前年同月比1.4%増の1383万6630トンとなり、14カ月連続の増産となった(図14)。
しかし、この出荷量は、関係者の予想を下回る結果となった。これは、4〜5月にかけて欧州の大部分が熱波に見舞われたことによるとみられている。なお、2〜3月の寒波による影響で牧草の生育が遅れたことなどから、3月の出荷量も関係者の予想を下回るものとなっていた。
4月の出荷量を加盟国別にみると、イタリア(前年同月比9.0%増)やベルギー(同4.8%増)、ポーランド(同3.6%増)、ドイツ(同3.5%増)などでは増産となり、アイルランド(同4.9%減)やオランダ(同1.7%減)などでは減産となった(表9)。
欧州委員会によると、5月の平均生乳取引価格(EU28カ国)は、前年同月比1.6%安の100キログラム当たり32.44ユーロ(1キログラム当たり41.85円:1ユーロ=129円)となった。また、4月の取引価格は、前月公表の速報値から下方修正され、同1.7%安の同32.62ユーロ(同42.08円)となった(図15)。
2016年11月以降、前年を上回る水準で推移していた乳価は、生乳生産量が増加傾向で推移する中、2018年4月、18カ月ぶりに前年比で下落に転じた。
欧州委員会によると、脱脂粉乳平均卸売価格は、2018年3月19日の週に底(100キログラム当たり131.70ユーロ(1万6989円))を打ち、その後3カ月間上昇傾向にある(図16)。
6月18日の週の同価格は、前週から0.5%下落し、100キログラム当たり153.1ユーロ(1万9750円)となった。同価格は、いまだ、公的買入価格(同169.80ユーロ(2万1904円))を下回っているものの、その差は同16.7ユーロ(9.8%)安まで縮まっている。
脱脂粉乳の価格の重しとなっている公的在庫については、6月19日に実施された21回目の売渡入札で2万3532トンが落札された。過去最多となった前回よりは減少したものの前々回以降、大量の落札が続いている。5月末時点の公的在庫数量は34万2791トンと大量だが、確実に取り崩しが進んでおり、市況の回復を反映しているとみられる。
なお、6月18日の週のバター平均卸売価格(EU28カ国)は、前週から1.5%下落し、100キログラム当たり573.98ユーロ(7万4043円)となり、チーズ平均卸売価格は、前週から同0.2%上昇し、同336.45ユーロ(4万3402円)となった。
(調査情報部 前田 絵梨)