需給動向 国内 |
平成30年5月の生乳生産量は、64万7908トン(前年同月比0.5%増)と8カ月連続で増加した(図4)。
地域別では、北海道が34万5857トン(同1.9%増)と9カ月連続で前年同月を上回り、離農などによる減産傾向が続いている都府県は30万2051トン(同1.2%減)と27カ月連続で前年同月を下回った。
用途別生乳処理量を見ると、牛乳等向けは35万1871トン(同1.4%増)と4カ月ぶりに前年同月を上回った。増加理由として、健康機能を伝えるテレビ番組の放映により、ゴールデンウィーク明け以降、牛乳消費が好調なほか、カフェラテなどに使用される業務用向けの増加などが挙げられる。一方で、乳製品向けは、牛乳等向けの増加を受けて、29万1939トン(同0.7%減)と5カ月ぶりに前年同月を下回った(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。
平成30年7月3日に農林水産省が公表した「畜産統計」によると、同年2月1日現在の酪農家戸数は、1万5700戸(前年比4.3%減)と前年に比べ700戸減少した。昭和39年以降、一貫して減少している。減少傾向が続いている背景として、高齢化や後継者不足に伴う廃業などが挙げられる。
飼養戸数を乳用牛飼養頭数規模別に見ると、80〜99頭(同7.7%増)および100頭以上(同1.0%増)の階層では増加したものの、79頭以下の全ての階層で減少した。中でも、小規模層の1〜19頭が前年から200戸(同6.5%減)減少したほか、50〜79頭の階層も280戸減(同8.2%減)と減少が目立った(表7)。
飼養戸数を全国農業地域別に見ると、前年に比べ、全ての地域で減少し、都府県は9540戸(同5.5%減)と、昭和35年(1960年)の調査開始以降、初めて1万戸を割り込んだ。このうち、関東・東山地域が3050戸(同5.9%減)、九州が1520戸(同6.2%減)、東北が2350戸(同3.3%減)と、主産地がいずれも戸数を大きく減らしたのが影響した。全国の生産量の過半を占める北海道は、6140戸(同2.7%減)となり、都府県に比べて減少幅は小さいものの、緩やかな減少傾向が続いている(表8、図5)。
一方で、乳用牛の飼養頭数は132万8000頭(同0.4%増)と前年に比べ5000頭増加し、平成14年以降、16年ぶりに増加に転じた。
乳用牛飼養頭数の内訳を見ると、経産牛(搾乳牛と乾乳牛の合計)は84万7200頭(前年比0.6%減)と減少した一方で、未経産牛は2歳未満の子畜の増加により、48万900頭(同2.1%増)と3年ぶりに増加に転じた。畜産クラスター事業をはじめ、さまざまな取り組みの効果が徐々に現れていることがうかがえる。
飼養頭数を乳用牛飼養頭数規模別に見ると、飼養戸数と同様、80〜99頭(同19.9%増)および100頭以上(同4.5%増)の階層では増加したものの、79頭以下の全ての階層で減少しており、生産の大規模化が進んでいる。
飼養頭数を全国農業地域別に見ると、メガファームでの増産が続く北海道(同1.5%増)および中国(同1.6%増)が増加した一方で、それ以外の全ての地域で減少した。
なお、1戸当たり飼養頭数は84.6頭となり、前年に比べ3.9頭増加した。地域別では、北海道が128.8頭(前年比5.3頭増)、都府県が56.3頭(同2.5頭増)と、いずれも増加した。
今後も大規模経営化が進むと見込まれることから、1戸当たりの飼養頭数は増加傾向で推移するとみられる。
(畜産需給部 二又 志保)