需給動向 海外

◆ブラジル◆

2017年の豚肉輸出、過去最高を記録した前年から5.7%減


ロシア向け輸出の動向が不透明

ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、2017年の冷蔵・冷凍豚肉輸出量は、前年比5.7%減の59万2614トンと過去最高を記録した前年をやや下回った(表6)。

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輸出先別に見ると、最大の輸出先となったロシア向けは、前年比同6.6%増と前年をかなりの程度上回ったが、ロシアは、2017年12月から、ブラジル産豚肉の輸入を停止した。ロシア政府は、同国が使用を禁止している成長促進剤のラクトパミンがブラジル産豚肉から検出されたことを輸入停止の要因としているが、ブラジル側は否定している。

第2位の香港向けは同11.8%減、第3位の中国向けは同44.1%減と、ともに前年の水準を大きく下回った。特に、中国向けは、同国の生産量が回復したことにより豚肉小売価格が下落し、中国での需給が緩んだことが影響したとされている。

一方、直近の2018年1〜5月の輸出量は、前年同期比13.3%減の20万7919トンとなった。これは、前述の通り、ロシア向け輸出が停止したことが大きく響き、2018年6月末現在も再開に至っていない。

他方、中国向け輸出が大きく伸びた。中国への輸出量は、1月以降急激に増加し、また4月には中国が米国産豚肉に追加関税を課したことから、ブラジル産の引き合いがさらに強まったため、同189.4%増の6万4795トンとなった。6月以降も中国向け輸出は好調と見込まれており、中国向けは、過去最高を記録した2016年の水準(8万7650トン)を大幅に上回ると予想されている。

2018年の生産量は増加見込み

米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2月28日、2018年におけるブラジルの豚肉生産量を前年比2.3%増の381万2000トン(枝肉重量ベース)と予測した(図6)。

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この要因として、2017年以降国内経済の回復により国内需要が高まっていることを挙げている。しかし、2017年11月以降、干ばつによるアルゼンチンのトウモロコシ生産量の減少や、米中の貿易摩擦による中国からのトウモロコシの引き合いの強まりなどにより、ブラジル国内のトウモロコシ価格が上昇していることから、肉豚の生産コストも上昇しており、今後の影響が懸念される(図7)。

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また、5月21〜31日までの間、トラック運転手によるストライキの影響で、23州の主要幹線道路が通行不能となった。その結果、輸送の停滞などが発生していることから、6月以降の生産量および輸出量の減少が懸念されている。

(調査情報部 佐藤 宏樹)


				

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