需給動向 海外

◆豪州◆

ABARES、2017/18年度牛肉生産・輸出見通しを上方修正


5カ月連続で牛肉生産量が回復

豪州統計局(ABS)によると、2017年10月の成牛と畜頭数は、牛群再構築の進展で繁殖基盤が回復し、市場に出回る頭数が増加していることから、59万2800頭(前年同月比4.0%増)と5カ月連続で前年同月を上回った。ただし、州別では、最大の肉用牛生産地であるクイーンズランド(QLD)州が、26万400頭(同8.1%減)と唯一減少した。同州では、9月までの乾燥気候により牛群再構築が遅れていたが、10月に良好な降雨に恵まれたことから、雌牛を保留し、牛群の拡大を図る動きがみられ、雌牛のと畜頭数が前年同月を11.5%下回った。

また、同月の1頭当たり枝肉重量は、と畜に占める穀物肥育牛の割合が増加した一方、雌牛の割合が減少したことにより、299.3キログラム(同2.9%増)と過去最高を記録した。

この結果、同月の牛肉生産量は、17万7413トン(同7.0%増)と増加した(図5)。

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肉牛取引価格、牧草肥育需要がけん引

豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、出荷頭数の増加と乾燥気候による牧草肥育業者の導入意欲の低下により2017年6月から下落傾向で推移し、9月末時点で1キログラム当たり505.5豪セント(455円:1豪ドル=90円)と3カ月で約150豪セント(135円)下落した(図6)。しかし、10月に入ると、QLD州で平年を上回る降雨があり、牧草肥育業者を中心に導入意欲が高まったことから、上昇基調に転じ、11月以降はおおむね同570豪セント(513円)台で推移している。MLAによると、QLD州の牧草肥育業者は、11月、EYCI価格ベースで穀物肥育業者よりも平均して同57豪セント(51円)高く購入しており、堅調に推移する同価格をけん引している。

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2017/18年度の生産・輸出量、2ケタ増の見込み

豪州農業資源経済科学局(ABARES)は2017年12月11日、「Agricultural Commodities」の中で、2017/18年度(7月〜翌6月)の牛肉需給見通しを発表した(表1)。同見通しは、四半期に1度公表される。

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これによると、牛と畜頭数は、良好な牧草環境と高水準で推移する生体牛価格により、QLD州とニューサウスウェールズ州で増加することから、前回予測(2017年9月)から33万頭上方修正され、813万頭(前年度比9.5%増)と見込まれている。牛肉生産量については、と畜頭数の増加と1頭当たり枝肉重量の増加に伴い、前回予測から8万頭上方修正され、232万トン(同12.1%増)と、かなり増加すると見込まれている。

牛肉輸出量については、生産量の増加と主要輸出先国からの需要の高まりにより、5万5000トン上方修正され、115万トン(同15.5%増)と見込まれている。輸出先別に見ると、日本向けは、輸入牛肉需要の増加に伴い9000トン上方修正され、30万トン(同9.5%増)と増加が見込まれている。中国向けも、所得の増加や都市化により牛肉需要が増加する一方、同国内の生産の増加は限られていることから、前回から1万5000トン上方修正された。一方、韓国向けは、米国産との競合や豪州・韓国間の自由貿易協定に基づくセーフガードの発動により、前回から1万5000トン下方修正された。

生体牛輸出頭数は、牛飼養頭数の回復に加え、インドネシアおよびベトナムからの需要が強いことから、前回から2万5000頭上方修正され、88万頭(同7.1%増)と見込まれている。

(調査情報部 大塚 健太郎)


				

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