需給動向 国内 |
28年のブロイラー養鶏経営の農業所得、前年比約5割増 |
平成29年11月の鶏肉需給を見ると、生産量は13万6538トン(前年同月比3.3%増)と前年同月をやや上回った。輸入量は5万7074トン(同10.3%増)と前年同月をかなりの程度上回り、4カ月連続の5万トン超えとなった。推定出回り量は18万6730トン(同0.2%減)となり、推定期末在庫は前月から6882トンを積み増したことから、17万8212トン(同10.2%増)とかなり高い水準となった(財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
平成29年12月21日に農林水産省が公表した「平成28年個別経営の営農類型別経営統計」によると、28年のブロイラー養鶏経営(全国平均・1経営体当たり)の農業粗収益は、鶏肉相場が堅調であったものの、前年を下回って推移したことから、1億1483万円(前年比2.9%減)と前年をわずかに下回った。また、農業経営費は、約6割を占める飼料費の減少などを背景に、9958万円(同7.7%減)と前年をかなりの程度下回った。この結果、農業所得は1525万円(同47.1%増)と前年から約5割増加し、4年連続で前年を上回った(図1)。
平成29年12月26日に農林水産省が公表した「農業産出額及び生産農業所得」によると、28年のブロイラー全国産出額は、3452億円と前年(3416億円)を36億円上回った。これは、近年の増産傾向や、底堅い需要を背景とした相場高などによるものと思われる。
都道府県別に見ると、上位5道県は、宮崎県(730億円)、鹿児島県(584億円)、岩手県(545億円)、青森県(210億円)、北海道(164億円)と前年の順位から変動はなく、全体の6割強を占めた(図2)。
なお、上位5道県については、志布志港や八戸港など穀物輸入量の多い港湾が近くにあるため、飼料の調達などに優位性があるとされている。
(畜産需給部 河村 侑紀)