需給動向 国内

◆豚 肉◆

豚肉冷蔵品輸入量、初めて4万トンを超える



平成29年11月の豚肉需給を見ると、生産量は8万538トン(前年同月比0.6%増)とわずかに増加した。また、輸入量も8万5202トン(同11.6%増)とかなり大きく増加した。輸入量のうち、主にテーブルミートとして消費される冷蔵品は、4万537トン(同34.6%増)と前年同月を大幅に上回り、初めて4万トンを超える数量となった。一方、主に加工業務用として使用される冷凍品は4万4663トン(同3.3%減)と前年同月をやや下回った。冷蔵品については、現地の生産量が増加基調となっていることから、現地相場安となり、輸入業者にとって冷蔵品を買い付けしやすい環境にあったことが輸入増の背景にあると思われる。また、29年の国内生産量が春から夏にかけて前年を下回って推移することが多かったため、冷蔵品を手当てする動きが見られたことから、国別では、米国産、カナダ産ともに前年同月を大幅に上回った。

推定出回り量は16万3063トン(同4.7%増)、推定期末在庫は前月から2606トン積み増して、16万9623トン(同3.3%増)といずれも前年同月をやや上回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

肥育豚生産費は2年連続で減少

農林水産省は平成29年12月5日、「平成28年度肥育豚生産費」を公表した。これによると、肥育経営における肥育豚1頭当たり資本利子・地代全額算入生産費(「以下「全算入生産費」という)は、3万2089円(前年度比5.1%減)と前年度に続き減少した(表3)。

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これは、生産費の約6割を占める飼料費が、飼料価格の低下から2万255円(同8.7%減)と前年度をかなりの程度下回ったことなどによる。

肥育豚の販売価格は、3万7207円(同2.0%安)と前年度を下回った。下落要因としては、牛肉価格の上昇により豚肉需要が高まったものの、出荷頭数が増加したことに加え、輸入豚肉の供給量も増加したことなどが考えられる。販売価格から生産費を差し引いた所得は、プラスとなったことから、28年度の経営状況はおおむね安定していたものと推測される。

30年度豚肉安定基準価格、440円に据え置き

平成29年12月15日に開催された「食料・農業・農村政策審議会畜産部会」において、畜産物価格等の算定について諮問・答申が行われ、30年度の畜産物価格等が決定した。豚肉の安定価格については、安定上位価格が現行1キログラム当たり595円、安定基準価格は現行同440円からともに据え置きとなった(表4)。

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これは、枝肉価格が上昇し農家販売価格が上昇した一方で、生産費の6割を占める飼料費を中心とした推定生産費が過去5年間の平均に対して減少したことから、上昇要因と低下要因が相殺されたことによるものである。

(畜産需給部 小林 智也)


				

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