需給動向 海外

◆豪 州◆

フィードロット飼養頭数、再び100万頭を上回る


と畜頭数は減も、天候による地域差が顕在化

豪州統計局(ABS)によると、2018年3月の成牛と畜頭数は、61万9700頭(前年同月比2.6%減)と減少した(図4)。

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州別に見ると、と畜頭数全体の半分近くを占めるクイーンズランド(QLD)州は、28万頭(同8.5%減)とかなり減少した一方、第2位のニューサウスウェールズ(NSW)州は14万頭(同2.5%増)とやや増加し、第3位のビクトリア(VIC)州は12万頭(同17.7%増)と大幅に増加した。と畜頭数が減少したのは、イースター休暇に伴いと畜場の稼働日数が少なかったことも影響しているとみられるものの、州別に状況が異なっているのは、東部の主要肉用牛生産地域では、1月以降乾燥した天候が続いていたが、QLD州では、3月初めに良好な降雨があったことから、牧草環境の回復を見込んで、牛群を保留する動きがみられた一方、NSW州およびVIC州では、引き続き降雨に恵まれず、牛群縮小のためにと畜に仕向ける頭数が増加したことが要因とみられる。

同月の牛肉生産量(枝肉ベース)は、枝肉重量がわずかに増加したこともあり、18万5700トン(同0.9%減)とわずかな減少にとどまった。

肉牛取引価格、乾燥気候により続落

豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、乾燥した天候による牧草環境の悪化を受け、3月の一時的な上昇を除き、1月以降下落傾向で推移している(図5)。同価格は、4月に、2015年6月以来、34カ月ぶりに1キログラム当たり500豪セント(420円:1豪ドル=84円)を下回ったところだが、その後も天候の回復はみられず、5月末時点では、同467豪セント(392円)と引き続き下落した。

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同価格は、3月に、QLD州で良好な降雨に恵まれたことから、牧草肥育業者の購買意欲が向上したことで、一時的に肉牛取引価格が上昇したものの、1月以降、VIC州およびNSW州など南東部の広範囲で乾燥した天候が続いており、多くの肉用牛生産者が肉牛の早期出荷を行う一方、牧草肥育業者を中心に導入意欲が減退していることから、下落傾向で推移している。

フィードロット飼養頭数、調査開始以来2番目の高水準

豪州フィードロット協会(ALFA)とMLAは5月16日、共同で四半期ごとに実施している全国フィードロット飼養頭数調査の結果(2018年1〜3月)を公表した。これによると、2018年3月末のフィードロット飼養頭数は、102万6000頭(前年比0.9%増)と、前回調査(2017年12月末)から増加し、再び100万頭を上回った(図6)。今回の飼養頭数は、調査開始以来2番目に多く、2017年第1〜3四半期と並んで、4度目の100万頭超えとなった。

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ALFAは、増加の要因として、東部の主要肉用牛生産地域では、1〜3月にかけて乾燥した天候が続いており、牧草の生育が悪いことから、安定的な増体が見込めるフィードロットに対する需要が増加したためとしている。

なお、2018年1〜3月の穀物肥育牛のと畜頭数は、67万4000頭(前年同期比3.5%減)とやや減少した一方、同期間におけると畜頭数は前年同期比5.7%増となったことから、と畜頭数に占める穀物肥育牛の割合は、38.1%と、前年同期から3.6ポイント減少した。

(調査情報部 大塚 健太郎)


				

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