需給動向 国内

◆牛 肉◆

4月の牛肉輸入量、前年同月比20.6%増と大幅に増加


平成30年4月の牛肉需給を見ると、生産量は2万8775トン(前年同月比1.6%増)と7カ月連続で前年同月を上回った。品種別では、和牛が1万3096トン(同4.1%増)、交雑種も7785トン(同4.4%増)といずれも前年同月をやや上回ったものの、乳用種は7579トン(同4.4%減)と前年同月をやや下回った。

輸入量は、冷蔵品が2万5119トン(同10.0%増)とかなりの程度増加し、冷凍品も関税の緊急措置(以下「セーフガード」という)が解除されたこともあり3万6960トン(同29.3%増)と前年同月を大幅に上回ったことから、全体では6万2110トン(同20.6%増)となった。

推定出回り量は、セーフガード解除に伴い、関税率が50%から38.5%に戻る米国産やカナダ産などへの引き合いもあり、前年同月をかなり大きく上回る8万9694トン(同12.7%増)となった。また、推定期末在庫は前月から920トン増加したものの、これまで輸入量に対し出回り量が上回って推移していたことから、9万8488トン(同4.2%減)と前年同月をやや下回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

米国産冷凍品輸入量、前年同月比大幅増

平成30年4月の牛肉輸入量は、輸入量の約半分を占める豪州産が2万9587トン(前年同月比7.6%増)となり、量販店や飲食店などの惣菜向け(ローストビーフ)や焼き材などの需要から主に冷蔵品がかなり大きく増加した。次いで輸入量の多い米国産については、4月からのセーフガード解除に伴い関税率が戻ったことや4月第2週目まで円高が進行し、輸入しやすい環境にあったことから、2万7268トン(同29.9%増)と大幅に増加した。米国産冷凍品の大半は、バラ(ショートプレートともいう)であるが例年よりも増加が目立った(図1および2)。その他では、同じく冷凍品の関税率が戻ることで輸入コストが低下するとみられたカナダ産は3200トン(同約4倍増)、NZ産は1553トン(同13.3%増)といずれも増加が目立った。

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米国産ショートプレートの卸売価格、高止まりが継続か

最近の肉ブームを背景に牛肉の輸入量が増加する中、平成30年4月の冷凍品輸入牛肉卸売価格(機構調べ)は、焼肉店や牛丼店などで使用されることが多い米国産ショートプレートの価格が、1キログラム当たり790円(前年同月比19.2%高)と28年10月以降、前年を上回る水準で推移している(図3)。価格が高止まりしている要因として、輸出向け需要の高まりによる現地価格の上昇が挙げられる。関係者によると、韓国向け需要の増加により日本向け価格も高値で推移しているとされている。今後も現地の輸出需要の大きな減退は見込まれないことから、セーフガードが解除されたものの、引き続き、輸入者にとっては手当てしにくい環境が続くとみられる。

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(畜産需給部 山神 尭基)


				

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