需給動向 海外 |
◆米 国◆
牛肉輸出は堅調も、秋以降の肥育牛価格に上昇懸念
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が5月25日に公表した「Cattle on Feed」によると、2018年4月にフィードロットに導入された牛は169万5000頭(前年同月比8.3%減)と、2カ月連続で前年を下回った(図1)。この背景には、昨秋以降の牧草や小麦の生育不良に伴う早期出荷の反動があるとみられる。一方、同月にフィードロットから出荷された肥育牛の頭数は、と畜場稼働日が前年同月より1日多かったこともあり、180万3000頭(同5.9%増)となった。こうしたことから、5月1日現在のフィードロット飼養頭数は1155万8000頭(前年比5.1%増)となり、2017年1月以降17カ月連続で前年を上回って推移した。
フィードロット飼養頭数のうち、5月1日現在で肥育日数が120日以上となる牛は431万3000頭であり、フィードロット飼養頭数全体の37.3%を占めるとみられる(図2)。これは、前年同月を4.7ポイント上回る水準であり、夏場の需要を支える供給力があることを示している。
一方、前述の通り3〜4月の導入頭数が少なかったことから、現地業界紙では、秋から冬にかけて出荷頭数が減少し肥育牛価格が上昇する可能性を指摘しており、今後の国内外の牛肉需給に注目が集まっている。
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が5月4日に公表した「Livestock and Meat Trade by Country」によると、牛肉輸出量は2016年7月以降21カ月連続で前年同月を上回って推移しており、2018年3月は前年同月比11.4%増の11万8219トンとなった。こうしたことから、同年第1四半期(1〜3月)は、前年同期比12.2%増の33万1188トンとなった(表1)。
輸出先別にみると、アジア市場向けが好調であり、中でも韓国向けはステーキ需要などから前年同期比28.8%増の6万1582トンと大幅に増加した。また、台湾向けや中国・香港向けは、いずれも前年同期を約4割上回った。一方、最大の輸出先である日本向けは、冷凍牛肉に係る関税緊急措置の影響などから同0.9%減の8万9508トンとなった。
USDAによると、2018年の牛肉輸出量は、引き続き堅調に推移するとの見通しから、137万7000トン(前年比6.0%増)と見込まれている。また、5月16日に新たに公表された2019年の牛肉輸出量についても、米国の牛肉生産量の増加が見込まれる上、世界的な牛肉需要も堅調に推移するとの見通しから、これまでの記録を更新する142万9000トン(同3.8%増)と見込んでいる(図3)。
(調査情報部 野田 圭介)