需給動向 国内

◆鶏 肉◆

平成29年の肉用若鶏の処理重量、過去最高を更新


平成30年4月の鶏肉需給を見ると、生産量は13万3255トン(前年同月比5.3%増)と前年同月をやや上回った。輸入量はブラジル産が前年同月をやや下回ったものの、タイ産が前年同月を大幅に上回ったことから、合計では4万9569トン(同1.8%増)と前年同月をわずかに上回った。推定出回り量は前年同月をかなりの程度上回る18万8662トン(同7.6%増)となり、推定期末在庫は前月から5838トンを取り崩したものの、17万714トン(同25.7%増)と、前年同月を大幅に上回った(財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

食鳥処理羽数・処理重量ともに増加

平成30年5月18日に農林水産省が公表した「食鳥流通統計調査」によると、29年の食鳥処理羽数は7億7248万羽(前年比1.1%増)、処理重量は221万4899トン(同2.0%増)といずれも前年をわずかに上回った(図7)。

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このうち、全体の約9割を占める「肉用若鶏(ふ化後3カ月齢未満)」は、処理羽数が6億8510万5000羽(同1.1%増)、処理重量が205万2065トン(同2.1%増)と6年連続の増加となり、処理重量は2年連続で200万トンを上回った。処理羽数および処理重量の増加要因として、サラダチキンなどの好調な鶏肉需要を受け、生産者の増産意欲が高まったことなどが挙げられる。また、1羽当たりの処理重量については、生産技術の向上による生産成績(飼料要求率や1日当たりの増体量など)の改善や育種改良が進んだことなどから、肉用若鶏においては2.995キログラムと過去最高を記録した。

なお、全体の約1割を占める「廃鶏(採卵鶏または種鶏を廃用した鶏)」についても、処理羽数(8143万2000羽(同0.6%増))、処理重量(14万3597トン(同0.4%増))ともに前年同月をわずかに上回った。これは、25年夏以降の堅調な鶏卵相場を受け、鶏卵生産者の増羽意欲が高く、採卵鶏の全国飼養羽数が増加傾向であったことなどが影響したとみられる。

鶏肉調製品輸入量、増加傾向で推移

コンビニエンスストア向けのホットスナック(フライドチキン、から揚げ、焼き鳥など)や、弁当・惣菜などに用いられる鶏肉調製品の輸入量を見ると、平成29年度は49万7671トン(前年度比14.3%増)と過去最高となった。うち、規格などの加工能力に定評のあるタイ産が約6割を占める29万9005トン(同13.2%増)と過去最高を記録した。次いで中国産が19万5242トン(同16.5%増)であった(図8)。

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また、30年4月の輸入量はタイ産、中国産ともに前年同月を上回ったため、合計でも4万1600トン(前年同月比13.4%増)となった。惣菜の市場規模が拡大する中、今後の鶏肉調製品の輸入量は引き続き増加傾向で推移するとみられている。

(畜産需給部 小林 智也)


				

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