需給動向 海外 |
◆豪州◆
生乳生産量は増加基調で、乳製品輸出量は増大
デーリー・オーストラリア(DA)によると、2018年3月の生乳生産量は、65万3500キロリットル(67万3100トン相当、前年同月比2.5%増)と10カ月連続で前年同月を上回った。2017/18年度(7月〜翌6月)の3月までの累計でも、732万2500キロリットル(754万2200トン相当、前年同期比3.4%増)と前年同期をやや上回った(図20)。
3月の生乳生産量を地域別に見ると、酪農主産地のビクトリア州(38万3300キロリットル(39万4800トン相当、前年同月比1.4%増))で前年同月を上回ったほか、タスマニア州(7万7200キロリットル(7万9500トン相当、同11.4%増))では、天候が良好であったことから二桁増となった。
DAが発表した2018年3月の主要乳製品4品目の輸出量は、生乳生産が増加基調で推移していることなどから、チーズを除きいずれも増加となった。特に、脱脂粉乳については、EUの公的在庫が高水準にあるものの国際需給の改善が見込まれ、輸出相手先からの引き合いが強まったことから、前年同月比66.5%増と高い伸びとなった(表12、図21)。
3月の輸出量を輸出先別に見ると、脱脂粉乳は、インドネシアや中国などアジア向けの増加が目立った。全粉乳は、最大の輸出先である中国やタイ向けが増加した。また、バター類は、マレーシアや香港向けは増加したが、シンガポールやインドネシア向けが減少した。チーズは、最大の輸出先である日本やフィリピン向けが増加した一方、中国や韓国向けが減少した。なお、輸出額については、輸出量の増加に加え、国際市況がおおむね回復傾向にあることから、前年同月を2割以上上回って推移している。
豪州自由競争・消費者委員会(ACCC)は4月30日、スーパーマーケットにおいて牛乳1リットル当たり1豪ドル(84円)で安売りされている現状が酪農経営に悪影響を及ぼしているかどうかについての調査結果を公表した。この調査は、2016年4月に豪州の2大乳業メーカーの牛乳の小売価格が大幅に引き下げられたことが契機となって開始され、ACCCが18カ月間にわたり広範な調査とデータ分析を行ってきた。
調査の結果、ACCCは、酪農家と乳業メーカーの間には、交渉力と情報量に関して著しい不均衡が存在することや、小売段階において牛乳価格が下落していることに酪農家が強い不満を持っている点を指摘した。一方で、ACCCは、スーパーマーケットでの牛乳の小売価格と酪農家へ支払われる乳価の間には、直接的な関連性がないと結論付けている。
ACCCの最終報告書に関して、酪農関係団体では、小売店で牛乳が低価格で販売されていることは、結果的に酪農家への乳価低下圧力となっているといった意見や、乳業メーカーはスーパーマーケットの価格引き下げを受け入れざるを得ないので、ACCCは乳業メーカーではなくスーパーマーケットに働きかけるべきとの意見が出ている。
(調査情報部 石橋 隆)