需給動向 海外

◆中国◆

乳製品輸入増大に伴い生乳価格が低下


乳製品輸入は増加

2018年1〜3月の牛乳乳製品の輸入量を見ると、クリームとチーズを除く品目で前年同期に比べて増加した(表15)。特に、最近変化の大きい品目は次の通りである。

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飲用乳は前年同期比36.3%増となった。輸入先を見ると、フランスやポーランドなどからの輸入量が増え、ニュージーランドやドイツに偏っていた昨年までに比べて輸入先が分散している(表16)。

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育児用粉乳(育粉)は同16.7%増となった。中国では、「乳幼児用粉乳の配合登録管理弁法」(詳細は本誌2016年9月号P104〜106を参照)により、育粉製品の配合を国家市場監督管理総局(旧国家食品薬品監督管理総局)に登録することが義務付けられ、登録されていない製品は、2018年1月以降、製造・販売してはならないとされている。登録は1社当たり三つの発育段階(0〜6カ月、6〜12カ月、12〜36カ月)向けごとに3種類ずつ、合計9種類が上限とされている。これまで、同一の配合を異なるブランド名で生産(OEM生産)し、販売するケースが多くあったが、2018年1月以降はこれが禁止されている。2018年1〜3月のアイルランドからの輸入量の減少は、OEM生産の禁止が影響していると見られている(表17)。

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バターは2017年以降、輸入単価が急上昇しているにもかかわらず、同32.3%増と大幅に増加した(図25)。バターは主に業務用に仕向けられており、近年、ベーカリー市場の拡大に伴って需要が増大している。

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ヨーグルトは同54.7%と、全品目の中で最も輸入量が増加しており、2014年以降、年率85%増と高い成長率を維持している。しかしながら、ヨーグルト供給の大部分は国産であり、特に常温ヨーグルト(注)の販売量が近年急増している。

注:25℃以下で4〜5カ月保存可能。

生乳価格は低下

2018年1月以降、生乳価格は低下傾向で推移しており、多くの大手生乳生産者が赤字となった2017年の水準を下回っている(図26)。このため、当面は大幅な生乳生産の増加は見込み難い。価格の低下は、主に安価な乳製品の輸入増大によるものとされる。

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(調査情報部 三原 亙)


				

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