需給動向 国内

◆牛乳・乳製品◆

生乳生産量、7カ月連続増


平成30年4月の生乳生産量は、62万3768トン(前年同月比1.2%増)と7カ月連続で増加した(図9)。

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地域別では、北海道が32万8663トン(同2.5%増)と8カ月連続で前年同月を上回り、都府県は29万5105トン(同0.2%減)と前年同月並みとなった。都府県では、関東地方の減少幅が先月より縮小したことに加え、中国地方や九州地方の増加が全体の生産量をけん引した。

用途別生乳処理量を見ると、牛乳等向けは、加工乳・成分調整牛乳の消費量の減少により32万4271トン(同0.9%減)と3カ月連続で前年同月を下回った。一方で、乳製品向けは、牛乳等向けが減少したことを受け、29万5391トン(同3.6%増)と4カ月連続で前年同月を上回った。乳製品向けのうち、脱脂粉乳・バター等向けは、14万6154トン(同4.7%増)となった(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。

バターの生産量、3カ月連続増

平成30年4月の乳製品の生産量については、脱脂粉乳・バター等向け生乳供給量の増加を受け、バターは5986トン(前年同月比4.7%増)と3カ月連続で前年同月を上回った。一方で、脱脂粉乳は1万1666トン(同0.2%増)と前年同月並みにとどまった。

生乳生産量、北海道の増産続く見込み

一般社団法人Jミルクが平成30年5月25日に公表した「平成30年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと今後の課題について」によると、30年度の生乳生産量は、前年度並みの726万7000トン(前年度比0.3%減)、このうち北海道が398万トン(同1.6%増)、都府県が328万7000トン(同2.6%減)と見込まれている(表)。

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北海道については、前回の見通しに続き、生産の主力となる2〜4歳の乳用牛頭数の増加が見込まれることから、前年を超えて推移すると見通している。

一方、都府県については、畜産クラスター事業や地域における生産基盤強化の取り組みなどの効果が徐々に現れ、0歳(0〜11カ月齢)頭数が昨年10月から前年を超えて推移しているものの、2〜4歳の乳用牛頭数は依然減少が続くことが見込まれることから、前年同月を下回ると見通している。

その結果、北海道から都府県への「移入必要量(道外移出量)」は、需要期を中心に前年水準と比較して増加(47万2000トン、同5.0%増)を見込んでいる。

農林水産省、30年度の輸入枠変更せず

同日、農林水産省は、今後の乳製品需給を見通した結果、1月に設定した平成30年度の輸入枠の数量(バター1万3000トン、脱脂粉乳2万7000トン)を変更しないとの方針を発表した。

今後のバターおよび脱脂粉乳については、引き続き、需給に対応した必要量が定期的に売り渡される予定であることから、需給は安定的に推移するものと見込まれている。

チーズ輸入量、過去最高を更新

平成29年度の乳製品向け生乳処理量のうち、チーズ向けが43万7783トン(前年度比2.4%減)と減少した中、チーズの輸入量は27万6096トン(前年度比8.0%増)と過去最高を更新した(図10)。このうち、ナチュラルチーズが26万6980トン(同8.3%増、プロセスチーズ原料用25万9439トンを含む)、プロセスチーズが9117トン(同0.1%減)であった。輸入量の増加が続く背景に、家飲みや外食需要の増加などが挙げられる。

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なかでも、輸入量の増加が続いているEU産については、日EU・EPAの大枠合意により、ソフト系はナチュラルチーズなどを一括して関税割当にとどめ、主に原材料として使用される熟成ハード系やクリームチーズなどは段階的に16年目に関税撤廃されることとなっており、今後の輸入動向が注目される。

(畜産需給部 二又 志保)


				

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