需給動向 海外

◆米 国◆

乳製品輸出は増加見込みも、生乳生産は鈍化傾向


乳用経産牛飼養頭数が減少傾向

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、乳用経産牛と畜頭数は、2018年1月以降4カ月連続で前年同月を上回って推移しており、4月は前年同月比9.1%増の24万8900頭となった(図14)。この背景には、南部平原などで牧草の生育状況が悪化していることなどがあるとみられる。

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このため、乳用経産牛飼養頭数は減少基調で推移しており、1月(940万7000頭)は前年同月比0.5%増であったのが、4月(940万頭)には同0.1%増と、前年同月比で増加幅が縮小している。こうしたことから、生乳生産量の前年同月比で増加幅も1月以降縮小傾向で推移しており、4月の生乳生産量(836万2000トン)の前年同月比は0.6%増にとどまった(図15)。

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なお、現地業界紙によれば、飼料価格の動向によっては、引き続き乳用経産牛と畜頭数が高い水準で推移するとの見方もある。また、仮に現状のペースでと畜が進んだ場合、2018年の乳用経産牛と畜頭数は、2014年以降で最多となる310万頭に達すると見込まれている。

酪農マージンが下落

USDAによれば、生産者乳価は2018年2月以降上昇傾向にあるが、依然として前年同月を下回って推移しており、4月は前年同月比4.2%安の100ポンド当たり15.8米ドル(1キログラム当たり38円:1米ドル=110円)となった(図16)。一方、トウモロコシ、大豆かすおよびアルファルファの相場は上昇傾向で推移していることから、2018年4月の酪農マージン(注1)は、生乳100ポンド当たり6.62米ドル(前年同月比22.6%安)と、前年を大幅に下回る水準となった。

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こうした状況に対し、現地業界紙では、飼料価格は、米国内の作付状況や在庫だけでなく、他国における穀物生産動向や通商動向によっても左右されることから、今後の見通しは不明瞭としつつも、収益が引き続き低調に推移すれば、生乳生産にも影響が生じる可能性があると指摘している。

(注1) 酪農家のセーフティネットである酪農マージン保護プログラム(MPP)において、乳価と飼料価格の差額として算定される収益。100ポンド当たり8米ドルを下回ると補てんが発動する。

乳製品輸出は増加の見通し

世界的に堅調な需要や価格競争力を背景に米国の乳製品輸出は好調を維持しており、米国乳製品輸出協会(USDEC)によれば、2018年3月の乳製品輸出量(注2)は、前年同月比26.1%増の20万4453トンと、3月としては過去最高を記録した。USDAによれば、米国の乳製品輸出は、高い価格競争力を背景に2019年にかけて堅調に推移すると見込まれている(図17)。

(注2) 脱脂粉乳、全粉乳、チーズ、バター、ホエイ、乳糖、乳たんぱく濃縮物の輸出量(製品重量ベース)の合計。

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(調査情報部 野田 圭介)


				

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