需給動向 海外 |
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生産量が増加する中、豚価は前年を下回る水準で推移
欧州委員会によると、2018年2月の豚枝肉生産量(EU28カ国)は、と畜頭数(2048万頭、前年同月比1.1%増)と一頭当たり枝肉重量(93.7キログラム、同2.0%増)がいずれも前年を上回ったことにより、前年同月比3.2%増の191万8200トンとなった(図10)。
2月の主要生産国の豚枝肉生産量を見ると、EU最大の生産国であるドイツが減産となったものの、その他の国は増産となった(表7)。増産に最も寄与したのは、積極的に輸出拡大を進めているスペインである。
2017年12月の家畜飼養頭数調査によると、繁殖雌豚の飼養頭数(EU28カ国)は、前年比1.4%増となった。ドイツおよびフランスではわずかに減少したものの、その他の主要な豚肉生産国では増加している(表8)。また、肥育豚・子豚頭数も、前年を上回っていることから、今後の増産が見込まれる。なお、欧州委員会は、4月に公表した農畜産物の短期的需給見通しの中で、2018年の豚枝肉生産量は前年比0.8%増、2019年は同0.4%減と見込んでいる。
欧州委員会によると、2018年4月の豚枝肉卸売価格(EU28カ国)は、前年同月比15.0%安の100キログラム当たり143.73ユーロ(1万8397円:1ユーロ=128円)となった(図11)。
2月の生産状況から、関係者は、市場が再び、やや供給過剰気味になってきているとしている。生産量が前年を上回って推移する一方、中国向けの輸出量が減少するなど、輸出需要が低下(2018年1〜3月輸出量:前年同期比1.8%減)していることもあり、豚価は8カ月連続で前年水準を下回って推移している。
国際獣疫事務局(OIE)は4月23日、ハンガリーのヘヴェシュ県(Heves)で初めてアフリカ豚コレラ(ASF:African Swine Fever)の発生が、野生のいのししで確認されたと発表した。同国は、EU加盟国の中では7番目の発生国となった。
その後、同国内で複数の発生が報告されているが、いずれも野生いのししでのみ確認されている。今回のASFの発生を受け、日本をはじめとする複数の輸出先国が、ハンガリー産豚肉の禁輸措置をとっており、EUでは、複数の加盟国で発生しているASFがEUの輸出にとって主要なリスクだとみなされている。
(調査情報部 前田 絵梨)