需給動向 国内

◆牛 肉◆

3月の推定期末在庫量、5年ぶりに10万トン割れ


平成30年3月の牛肉需給を見ると、生産量は2万6406トン(前年同月比1.8%増)と6カ月連続で前年同月を上回った。品種別では、和牛が1万1328トン(同4.8%増)と前年同月をやや、交雑種が7093トン(同7.8%増)とかなりの程度上回ったものの、乳用種は7652トン(同7.0%減)と前年同月をかなりの程度下回った。

輸入量は、冷蔵品が2万2336トン(同1.2%増)とわずかに増加し、冷凍品も2万2404トン(同4.6%増)と前年同月をやや上回ったことから、全体では4万4860トン(同3.0%増)となった。

推定出回り量は、年度末の在庫調整や4月に向けた手当てなどの動きもあり、前年同月をかなり大きく上回る7万7427トン(同11.3%増)となり、推定期末在庫量は前月から6469トン取り崩した結果、9万7568トン(同5.1%減)と前年同月をやや下回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

和牛生産量、5年ぶりに増加

平成29年度の生産量は、32万9730トン(前年度比1.7%増)と5年ぶりに増加した(表1)。品種別では、和牛が14万5061トン(同1.8%増)、交雑種が8万6831トン(同9.7%増)と増加した一方、乳用種が9万3910トン(同4.5%減)と減少した。和牛については、繁殖雌牛飼養頭数が2年連続で増加し、生産基盤が回復基調に転じていることから、出荷頭数が5年ぶりに増加したことに加え、1頭当たりの枝肉重量も同1.1%増となった(図1)。また、交雑種については、酪農家における乳用種への黒毛和種の交配率が高かったことから出荷頭数が前年度に続き増加となった。

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推定出回り量、14年ぶりに90万トン超え

平成29年度の推定出回り量のうち、国産品は、32万8037トン(前年度比1.7%増)とわずかに増加し、輸入品も、消費者の低価格志向の高まりを背景に量販店などでの取り扱い量が増えたことから、57万5804トン(同6.9%増)とかなりの程度増加した。この結果、合計では90万3840トン(同5.0%増)と2年連続で増加し、平成15年以降、初めて90万トンを上回った。

牛枝肉卸売価格、乳用種を除き軟調に推移

輸入牛肉の需要が高い中、平成29年度の牛枝肉卸売価格(東京市場)は、和牛去勢A−4が1キログラム当たり2420円(前年度比1.7%安)、交雑種去勢B−3が同1420円(同9.4%安)、乳用種去勢B−2が同1002円(同6.0%高)となった。前年度は、全国的な出荷頭数の減少やインバウンド需要の拡大、堅調な輸出需要などを受けて、和牛などを中心に高水準で推移していたものの、29年度は、高値疲れや冷蔵品輸入量の増加などを背景に和牛や交雑種は軟調に推移した。一方、乳用種は、出荷頭数が減少する中、給食向けや量販店などで一定の需要があることから横ばいで推移した(図2)。

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(畜産需給部 山神 尭基)


				

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