需給動向 海外

◆米 国◆

肥育牛、肥育もと牛ともに価格下落見込み


4月のフィードロット飼養頭数は高水準を維持

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2018年4月20日に公表した「Cattle on Feed」によると、4月1日時点のフィードロット飼養頭数は、前年同月比7.4%増の1172万9000頭となった(図1)。

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内訳を見ると、去勢牛および未経産牛は、それぞれ同4.1%増、同14.0%増となった。未経産牛が大きく増加し、フィードロット飼養頭数に占める割合は、前年同月(33.7%)を上回る35.8%となった。繁殖農家による牛群再構築が一服したことに加え、南部地域を中心とした干ばつによる草地の生育の悪化で、未経産牛の保留を控える動きが現れたことによるものとみられている。

フィードロットからの出荷増により、肥育牛価格下落

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2018年4月の肥育もと牛価格は、前年同月比3.6%高の100ポンド当たり163米ドル(1キログラム当たり395円:1米ドル=110円)(速報値)となった。フィードロットの収益性は、好調な肥育牛価格により2月ごろまで良好に推移していたことから、引き続きフィードロット側の導入意欲が高かったものとみられる。

一方、同月の肥育牛価格は、フィードロットからの出荷頭数の増加により、同8.9%安の同119.50米ドル(同290円)(速報値)と2カ月連続で前年同月を下回った(図2)。

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USDA/ERSによると、第2四半期(4〜6月)の肥育牛価格は、肥育牛頭数の増加により、同114〜118米ドル(同276〜286円)と前年同期の同132.76米ドル(同322円)を下回ると見込まれている。また、同四半期の肥育もと牛価格は、フィードロットの収益性低下による買い控えが予想されることから、同139〜143米ドル(同337〜347円)と前年同期の同147.75米ドル(同358円)を下回ると見込まれている。

4月1日時点で120日以上肥育されている牛が前年同月に比べ23.5%多いことから、これらの牛の出荷が見込まれる6〜8月にかけて肥育牛価格の下落が予想されている。

牛肉卸売価格は堅調に推移

USDA/ERSによると、牛肉卸売価格は、国内外からの高需要により堅調に推移しており、2018年4月は、前年同月比0.2%高の100ポンド当たり214.25米ドル(1キログラム当たり520円)(速報値)となった(図3)。卸売価格が堅調な一方、肥育牛価格が下落していることから、食肉パッカーの収益は良好とみられている。

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今後、肥育牛頭数の増加が見込まれることから、食肉パッカーは、2018年夏から秋にかけての牛肉の販売契約を意欲的に進めているとされている。

(調査情報部 渡邊 陽介)


				

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