需給動向 国内 |
平成29年度の供給量、過去最高の265万トン超え |
平成30年3月の鶏肉需給を見ると、生産量は13万6554トン(前年同月比2.7%増)と前年同月をわずかに上回った。輸入量はブラジル産およびタイ産が前年同月を上回ったことから、4万3434トン(同16.3%増)と前年同月を大幅に上回った。推定出回り量は前年同月をかなりの程度上回る19万429トン(同9.5%増)となり、推定期末在庫量は前月から1万441トンを取り崩したものの、17万6552トン(同30.0%増)と、前年同月を大幅に上回った(財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
平成29年度の鶏肉生産量は、7年連続で増加し、過去最高の158万6192トン(前年度比2.5%増)となった。近年の底堅い需要を受けた堅調な鶏肉相場を受け、生産者の増産意欲が高まり、ブロイラーのひな餌付け羽数が増加傾向で推移したためとみられる(表3)。
平成29年度の鶏肉輸入量を見ると、ブラジル産については、現地の生産コスト上昇を受け前年度の輸入量が少なかったことや、国産鶏肉の価格が高値だったこともあり、引き合いが増加したことから前年度をかなり大きく上回った。タイ産については、前年度に引き続き好調な輸出需要を背景に現地の増産意欲は高く、前年度を大幅に上回った。この結果、輸入量全体では、59万3037トン(前年度比12.8%増)と前年度をかなり大きく上回り、ブラジル産、タイ産のシェアは、それぞれ73%(同1ポイント減)、22%(前年度並み)となった。
また、鶏肉調製品(加熱処理された唐揚げ、焼き鳥、チキンナゲットなど)の輸入量は、49万7671トン(同14.3%増)と前年度をかなり大きく上回った。主要な輸入先であるタイ産、中国産のシェアは、それぞれ60%(同1ポイント減)、39%(同1ポイント増)となった。
この結果、29年度の鶏肉と鶏肉調製品を足した供給量は、2年連続で250万トンを超える267万トンとなった(図5)。
平成29年度の推定出回り量のうち、国産品は、158万847トン(前年度比2.2%増、全体に占めるシェアは74%)とわずかに増加し、輸入品も、消費者の低価格志向や加工・業務用需要の高まりから、55万7589トン(同2.1%増、同26%)とわずかに増加した。この結果、合計で213万8436トン(同2.1%増)と13年連続で増加し、過去最高を更新した。
また、29年度末(平成30年3月末)の推定期末在庫量は、国産鶏肉生産量の増加や高水準の輸入量を背景に積み上がったため、17万6552トン(同30.0%増)と前年度を大幅に上回った。
平成29年度の鶏肉相場は、もも肉が高水準に積み上がった在庫を背景に7月以降前年度を下回って推移した一方で、むね肉はサラダチキンなどの加工向けを中心とした好調な需要などから、すべての月で前年度を上回り堅調に推移した(図6)。
(畜産需給部 小林 智也)