需給動向 海外

◆タイ◆

2018年に入っても輸出量および生産量は増加


2018年に入っても輸出量は好調

2018年1〜2月の鶏肉調製品、冷凍鶏肉、冷凍加塩鶏肉の輸出量は増加した。鶏肉調製品と冷凍鶏肉は、引き続き、日本向けが好調である(表9)。

033b

鶏肉調製品は、前年同期比で9.1%増の8.5万トンであった。

冷凍鶏肉は、同27.6%増の同4.2万トンであった。

冷凍加塩鶏肉は、同45.9%増の同1.6万トンと大幅に増加した。なお、この品目は、関税割当(注1)により低関税で輸出できるEU向けが99%以上を占める。

また、本年3月に、中国はタイ産鶏肉の輸入を解禁した。現地報道によると、3月末に昆明など中国南部の都市に向けて輸出されており、地理的に近いことからタイ産に価格競争力があるとされる。中国向けは主にモミジや手羽であるため、日本向けとは競合しないとみられている。

(注1)枠内税率は15.4%で、割当数量は年間9万2610トン。枠外税率は1キログラム当たり1.3ユーロ(174円、1ユーロ=134円)である。

15か月連続で生産量は増加

2018年1〜3月の鶏肉生産量は、国内消費および輸出が堅調なことから、各月とも前年同月の水準を上回った(図18)。3月の生産量は、前年同月比2.0%増の14.7万トンと15か月連続で前年同月の水準を上回った。

034a

生産コストをめぐる環境は悪化

国産トウモロコシの卸売価格は上昇傾向にあり、2018年4月には1キログラム当たり10.5バーツ(37.1円、1バーツ=3.53円)となっている(図19)。ブロイラー加工輸出協会は、飼料用小麦を輸入する際に国産トウモロコシを一定量購入しなければならない(注2)ことが、国産トウモロコシの価格上昇を招いているとして、政府に対してトウモロコシの購入義務量の削減を求めている。

034b

なお、本年4月からタイの最低賃金が引き上げられた(注3)。最低賃金は地域別に定められており、バンコクでは約5%の上昇となる。各社は、コスト上昇を抑えるために、様々な工夫をしている。一部の業者は体重を増やすことで、処理羽数を減らして、人件費の抑制を図っていると言われている。

(注2)輸入する飼料用小麦の3倍の量の国産トウモロコシを政府が指定する価格で購入しなければならない。米国農務省によると、この施策は、安価な代替品から国内のトウモロコシ農家を保護するため2017年1月から実施されている。

(注3)日本貿易振興機構「ビジネス短信」(5月1日参照、https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/03/31ffe445b701a6fa.html)より。

(調査情報部 三原 亙)


				

元のページに戻る