需給動向 海外

◆米 国◆

増加幅は下方修正も、第2四半期の生産量は前年を上回る見込み


平均処理時生体重が生産量を下支え

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2018年4月25日に公表した「Poultry Slaughter」によると、3月のブロイラー処理羽数は、処理日が1日少なかったことから、前年同月比3.8%減の7億4217万羽となった(図14)。しかし、1日当たりに換算すると、同0.6%増となった。現地報道では、ブロイラーのふ化羽数の増加に対して、処理羽数の増加が少ないとしており、抗生剤を使用しない飼養方法が急速に拡大していることを要因に挙げている。

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一方、1羽当たり平均処理時生体重は、高水準を維持しており、同月は同1.3%増の2.83キログラムとなった。

これらの結果、同月の鶏肉生産量は、同2.7%減の158万1000トンとなり、1日当たりでは同1.7%増となった。

USDAは、第2四半期の鶏肉生産量について、ふ化羽数の増加が見込みを下回ったことから、前月の予測値を4万5000トン下方修正し、前年同期比1.6%増の479万7000トンと予測している。

種鶏の飼養羽数は増加

USDA/NASSによると、2018年4月1日時点の肉用鶏の種鶏の飼養羽数は、生産者の増羽意欲の高まりにより、前年同月比4.3%増の5898万2000羽と、統計が公表されている2008年以降で最高となった(図15)。

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3月のふ化羽数は、同1.2%増の8億2820万羽となった。また、4月1日時点でふ卵器に入っていた卵数は、同2.4%増の6億8319万個であった。

生産者販売価格は前年を上回って推移

USDA/NASSが2018年4月27日に公表した「Agricultural Prices」によると、3月のブロイラーの生産者販売価格は、前年同月比9.1%高の1ポンド当たり60セント(1キログラム当たり146円:1米ドル=110円)となった(図16)。米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、飼料穀物価格が上昇したものの、販売価格も上昇したことから、ブロイラー生産者の収益性は前年同月に比べ良好だったとされている。

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冷凍鶏肉在庫量は引き続き高水準

USDA/NASSが2018年4月23日に公表した「Cold Storage」によると、3月末時点の冷凍鶏肉在庫量は、前年同月比13.9%増の39万5000トンとなった。

内訳を見ると、レッグクォータ(注)は、アジア向け輸出が好調なことから、同23.3%減の3万9000トンとなった(図17)。一方、むね肉は、価格の下落により前月末からの取り崩しは進んだものの、同3.1%増の8万4000トンと、引き続き高水準にある。手羽は、同5.2%増の3万1000トンとなった。むね肉および手羽の在庫増加は、1羽当たり生体重の増加による増産の影響もあるとみられている。

(注)ブロイラーを4分の1にカットしたもの。ドラムスティックと上ももに背肉の半分が付着したもの。

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(調査情報部 渡邊 陽介)


				

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