需給動向 国内 |
平成30年4月の鶏卵卸売価格(東京、M玉)は、前月比22円安の1キログラム当たり179円(前年同月比48円安)と6カ月連続で前年同月を下回った(図9)。これは、25年夏以降の堅調な相場を受け、生産者の増羽意欲が続いていることに加え、3月、4月は全国的に平年よりも気温が高く、需要が振るわなかったことなどが要因とみられる。
このような状況の中、鶏卵の標準取引価格(日毎)(規格卵(注)における1キログラム当たりの加重平均価格)が162円まで低下し、安定基準価格(1キログラム当たり163円)を下回ったことから、鶏卵生産者経営安定対策事業のうち成鶏更新・空舎延長事業が平成30年4月23日付けで発動された。同事業の発動は25年5月以来5年ぶりとなる。
同事業は、当該日の標準取引価格が安定基準価格を下回った30日前から安定基準価格を上回る日の前日までに、更新のために成鶏を出荷し、その後60日以上の空舎期間を設けた生産者に対して、奨励金を交付するものである。
今後について、供給面では、産卵の適期が続くほか、採卵用ひな餌付け羽数の増加も相まって生産量は安定的に推移すると見込まれる。一方で、需要面では、大型連休が終了し、気温の上昇とともに、さらなる需要の減退が見込まれる。
例年通りであれば、季節的に相場が低下していくが、同事業の発動による供給調整により、今後の相場動向への影響が注視される。
注:規格卵とは、JA全農たまご株式会社の東日本営業本部および西日本営業本部において販売された、鶏卵規格取引要綱に定める箱詰鶏卵規格およびパック詰鶏卵規格に定める全種類の鶏卵のことをいう。
総務省の「家計調査報告」によると、平成29年度の全国一人当たりの卵の購入数量は10.6キログラム(前年度比2.0%増)と、6月を除くすべての月で前年同月を上回った。また、支出金額は3179円(同0.9%増)となり、3年度以降、25年ぶりに3100円台を記録した前年度に続き、高水準を維持した(図10)。
テーブルエッグやコンビニエンスストアなどで販売されている卵加工品の底堅い需要を背景に、購入数量は4年連続、支出金額は5年連続で前年度を上回った。
(畜産需給部 岩井 椿)