需給動向 海外 |
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脱脂粉乳の公的在庫の売渡入札は落札数量が大幅に増加
欧州委員会によると、2018年2月の生乳出荷量(EU28カ国)は、前年同月比2.9%増の1207万トンと12カ月連続の増産となった(図20)。
加盟国別にみると、生乳出荷量の上位2カ国であるドイツ(前年同月比3.7%増)、フランス(同3.1%増)をはじめ主要生産国の多くが増産となった一方で、2017年にリン酸塩排出削減のために乳牛の淘汰を行ったオランダ(同1.2%減)は減産となった。
欧州委員会は、4月に公表した農畜産物の短期的需給見通しで、2018年の生乳出荷量を、平均生乳取引価格が依然として比較的高水準にあり、飼料価格の安定傾向もしばらく続くと予想されることから、前年比1.4%増と見込んでいる。
また、2019年の生乳出荷量は、EUおよび米国による供給量の増加が乳価にマイナスの影響を与えるとして、前年比0.5%増にとどまると見込んでいる。
欧州委員会によると、脱脂粉乳の平均卸売価格(EU28カ国)は、4月30日の週に100キログラム当たり140.86ユーロ(1万8875円:1ユーロ=134円)となった(図21)。
脱脂粉乳の公的在庫が引き続き膨大にあるなか、公的買入価格(同169.80ユーロ(2万2753円))を下回る水準が続いているものの、本年3月19日の週(同131.70ユーロ(1万7648円))に底を打って以降、上向き傾向にある。
欧州委員会は、短期的需給見通しの中で、2018年の脱脂粉乳の生産量を、生乳の供給量が十分なこと、脱脂粉乳に対する需要が伸びることから、前年比2.6%増と見込んでいる(図22)。また、輸出量については、同5.0%増と見込んでいる。
なお、2019年については、生産量を同0.9%減、輸出量を同9.0%増と見込んでいる。
欧州委員会は、4月17日に実施した脱脂粉乳公的在庫の売渡入札の結果、これまでで最大となる2万4066トンが落札されたと公表した(表10)。なお、売渡最低価格は前月とほぼ変わらず、公的買入価格を38.1%下回る、100キログラム当たり105.10ユーロ(1万4083円)となった。
前月の入札と比べ、落札数量は5.8倍、応札数量は2.4倍と、大幅に増加した。前月の売渡最低価格が低かったことが、応札数量の増加につながったと考えられる。
今回の応札数量の増加を受け、欧州委員会は、来月(5月15日実施予定)の入札では、入札の対象とする数量を11万5112トンへ増加することを決定した。
欧州委員会は、短期的需給見通しの中で、公的在庫が、2017年末の37万6000トンから、2018年末に29万6000トンまで削減されると見込んでいる。
(調査情報部 前田 絵梨)