需給動向 国内 |
平成30年3月の生乳生産量は、63万9271トン(前年同月比0.8%増)と前年同月をわずかに上回った(図7)。
地域別では、都府県が29万9598トン(同1.2%減)と25カ月連続で前年同月を下回った一方で、北海道が33万9673トン(同2.7%増)と7カ月連続で前年同月を上回った。
全国の生乳生産量の過半を占める北海道では、良質な粗飼料の確保や規模拡大の進展などにより、主産地別で見ると帯広地区が前年同月比4.2%増、中標津地区が同2.4%増となった。
一方、都府県では、離農などによる減産傾向が続いており、中国地方や九州地方などを除き、前年同月を下回った。都府県の生産量の約3割を占める関東地方は、9カ月連続で前年同月を下回ったものの、寒波により生産量が減少した前月に比べて減少幅は縮小した。
用途別生乳処理量を仕向け先別に見ると、牛乳等向けは31万9404トン(同0.9%減)と2カ月連続で前年同月を下回った。一方で、乳製品向けは牛乳等向けが減少したことを受け、31万5892トン(同2.7%増)と3カ月連続で前年同月を上回った。乳製品向けのうち、脱脂粉乳・バター等向けは、15万5332トン(同3.1%増)となった(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。
平成29年度の生乳生産量は、729万810トン(前年度比0.7%減)と2年連続で前年度を下回った(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。月別に見ると、29年9月まで13カ月連続で前年同月を下回ったものの、29年10月以降、6カ月連続で前年同月を上回ったことから、減少幅はわずかにとどまった。
地域別では、北海道が391万5799トン(同0.6%増)、都府県が337万5011トン(同2.2%減)となった。北海道については、28年8月下旬に発生した台風の影響による粗飼料の品質低下を受けて、28年度は減少に転じたものの、29年産粗飼料に切り替わり始めた9月以降、回復基調に転じた。一方で、都府県については、離農などにより酪農家戸数および乳牛頭数が減少傾向で推移しており、5年連続での減少となった。
この結果、全国の生乳生産量に占める北海道のシェアは53.7%と前年度比で0.7ポイント拡大した(図8)。
平成29年度の用途別生乳処理量は、牛乳等向けが398万3998トン(前年度比0.1%減)、乳製品向けが325万8009トン(同1.3%減)となった(表4)。
牛乳等向けが前年度並みとなった要因として、牛乳が健康に良い効果をもたらすとの報道の影響もあり、一昨年以降、牛乳生産量は堅調に推移しているものの、はっ酵乳生産量が9年ぶりに減少したことなどが挙げられる。一方で、乳製品向けは、生乳生産量の減少に加えて、牛乳等向けが堅調に推移していることから、2年連続で減少しており、このうち、脱脂粉乳・バター等向けは、149万9827トン(同3.1%減)とやや減少した。
この結果、同年度のバター生産量は6万86トン(同5.5%減)、脱脂粉乳生産量は12万1581トン(同1.6%減)と、いずれも減少した。
平成29年度の推定出回り量は、バターが7万1013トン(前年度比3.0%減)、脱脂粉乳が14万453トン(同2.8%増)となった。
バターは、世界的な乳脂肪需要の高まりを背景に国際相場が上昇したため、輸入量は前年度を大幅に下回ったものの、26年度以降、輸入在庫量が十分にあることから、2万2985トン(同6.1%減)と過去5カ年では前年度に次いで2番目に高い在庫水準となった。一方で、脱脂粉乳は、消費量の増加見込みを受けた輸入枠の拡大や、EUの在庫増による世界的な脱脂粉乳価格の弱含みを背景に、輸入量が増加したことから、6万5145トン(同34.7%増)と在庫量が大幅に増加した。
(畜産需給部 二又 志保)