需給動向 海外

◆中 国◆

国内価格の低下により、輸入量が減少


豚肉価格が下落し、収益性が悪化

中国国家発展改革委員会などによると、2018年4月の子豚価格は前年同月比39.7%安の1キログラム当たり25.9元(446円:1元=17.22円)、肥育豚の生体出荷価格は同31.8%安の同10.8元(186円)、豚肉小売価格は同21.9%安の同20.8元(358円)とそれぞれ下落した(図12)。中国政府は、3月16日に備蓄用として1万トンの冷凍豚肉を買い上げたが、生体出荷価格、小売価格ともに回復は見られていない。

029b

一方、トウモロコシ価格は、2月に中国商務部が米国産ソルガムの反ダンピング調査を開始したことなどから、国産トウモロコシへの引き合いが強くなり、前年同月比12.4%高の同1.97元(34円)と上昇した。

生体出荷価格が下落した一方で、トウモロコシ価格が上昇したため、収益性の指標とされる豚トウモロコシ比(注1)は、急激に低下しており、2018年2月以降は、利益が出るとされる水準の6.0を下回り、4月には5.5に低下した(図13)。

030a

(注1)養豚経営の収益性の指標とされる。1キログラム当たりの豚出荷価格を同量の飼料用トウモロコシの卸売価格で除したもの。一般に6.0を上回ると農家は繁殖用母豚を購入し、5.5を下回ると繁殖用母豚を淘汰すると言われる。

大規模と畜場でのと畜頭数が増加

中国農業農村部(注2)によると、大規模と畜場(注3)でのと畜頭数は、2017年3月以降、前年同月比で増加を続けている(表7)。これは、2015年後半以降、大手企業グループが積極的に増頭したことが影響していると考えられる。

(注2)農業部は、2018年3月に農業農村部に改組された。

(注3)年間2万頭以上の豚を処理すると畜場。豚のと畜頭数の3割程度を占める。

030b

豚肉輸入量は減少

2018年1〜3月の豚肉輸入量は、国内価格の低下により、前年同期比6.4%減の約32万トンであった。国別に見ると、ブラジルとチリを除く主要国からの輸入量が減少している(表8)。ブラジルについては、昨年12月以降、ロシアがブラジル産牛・豚肉の輸入を禁止しているため、中国向け輸出が増えたと考えられる。

031a

なお、中国政府は、米国による鉄鋼などへの追加関税が中国の利益を損ねるとして、4月2日以降、米国産の豚肉とくず肉(注4)に25%の追加関税を賦課している。

(注4)HSコードは、02031200、02031900、02032190、02032200、02032900、02064100、02064900。

(調査情報部 三原 亙)


				

元のページに戻る