需給動向 国内

◆豚 肉◆

平成29年度の豚肉輸入量、過去最高を更新



平成30年3月の豚肉需給を見ると、生産量は7万8201トン(前年同月比1.2%減)と前年同月をわずかに下回った。輸入量は7万7785トン(同4.3%減)と前年同月をやや下回った。輸入量のうち、主にテーブルミートとして消費される冷蔵品は3万4128トン(同6.4%減)、主に加工業務用向けに仕向けられる冷凍品は4万3655トン(同2.6%減)といずれも前年同月を下回った。推定出回り量は前年同月をわずかに上回る15万6781トン(同1.9%増)となり、推定期末在庫は前月から842トン取り崩したものの、18万974トン(同1.9%増)と17カ月連続で前年同月を上回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

生産量、前年度比0.5%減

平成29年度の生産量を見ると、前年の夏場の暑さによる繁殖成績の低下や、夏場の生育不良などの影響もあり、上半期の生産量が減少したことから、前年度をわずかに下回る89万50トン(前年度比0.5%減)となった(表2、図3)。

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輸入量、4年連続で増加

平成29年度の輸入量を見ると、92万5631トン(前年度比5.5%増)と4年連続で前年度を上回り、過去最高を更新した。

このうち、冷蔵品は39万8826トン(同9.6%増)と前年度をかなりの程度上回った。冷蔵品は、米国産とカナダ産で9割以上を占めており、現地の生産が好調な米国産は、21万1224トン(同1.4%増)と前年度をわずかに上回った。また、カナダ産は、現地で輸出向けの設備投資などが進んでいることに加え、日本国内でカナダ産の品質の良さを評価する声もあり、17万6392トン(同22.6%増)と大幅に増加した。

一方、冷凍品は、技術面の向上などにより存在感を高めているメキシコ産やスペイン産などの輸入量が増えたことから、52万6781トン(同2.7%増)と前年度をわずかに上回った。

推定出回り量、初めて輸入品が国産品を上回る

平成29年度の推定出回り量は、前年度をわずかに上回る181万1577トン(前年度比2.8%増)となった。このうち、国産品は88万4778トン(同1.0%減)とわずかに減少した。一方、輸入品は輸入量の増加に伴い、92万6800トン(同6.7%増)とかなりの程度増加した。この結果、全体に占める国産品のシェアは48.8%(同1.9ポイント減)、輸入品のシェアは51.2%(同1.9ポイント増)となり、初めて輸入品が国産品を上回った。

また、29年度末(平成30年3月末)の推定期末在庫量は、18万974トン(同1.9%増)と前年度をわずかに上回った。このうち輸入品在庫は16万500トン(同0.7%減)となった一方で、国産品在庫は低調な出回り量を背景に2万474トン(同29.2%増)と21カ月ぶりに2万トン台となった。

3月の豚枝肉卸売価格、前年同月比13.9%安

平成29年度の豚枝肉卸売価格(東京・大阪市場の省令規格加重平均)を見ると、上半期の生産量減少などを背景に、前年度をやや上回る1キログラム当たり563円(前年度比6.6%高)となった。しかし、輸入量が高水準で推移していたことから、下半期に入って低下傾向となっており、3月は同434円(前年同月比13.9%安)と前年同月をかなり大きく下回った(図4)。

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(畜産需給部 河村 侑紀)


				

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