需給動向 海外

◆豪州◆

2018年牛肉輸出量、前年をやや上回る見込み


生産量が6カ月ぶりに前年同月比で減少

豪州統計局(ABS)によると、2017年11月の成牛と畜頭数は63万2500頭(前年同月比5.5%減)と、前月の59万2800頭からは増加したものの、牧草の生育環境の悪化に伴い早期出荷が増加した前年同月からは減少した。特に、全体の45%を占めるクイーンズランド州(QLD)は、牧草環境悪化の影響が最も大きかったことから、28万7600頭(同12.0%減)と減少幅が大きい。

また、同月の1頭当たり枝肉重量は、と畜に占める穀物肥育牛の割合が増加した上、雌牛の割合も減少したことにより、305キログラム(同3.6%増)と初めて300キログラムを上回った。

この結果、同月の牛肉生産量は、19万2897トン(同2.0%減)と6カ月ぶりに前年同月を下回った(図3)。

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2017年輸出量、前年をわずかに下回る

豪州農業・水資源省(DAWR)によると、2017年12月の牛肉輸出量は、8万7918トン(前年同月比1.6%減)とわずかに減少した。その結果、2017年では、7月から10月にかけて牛肉生産量の回復に伴い前年同月を大幅に上回って推移したものの、101万4910トン(前年比0.3%減)と、わずかに前年を下回った(表2)。

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2017年の輸出量を主要輸出先別に見ると、日本向けは、輸入牛肉への需要増に伴い、前年同月比10.6%増とかなり増加し、2年連続で最大の輸出先となった。また、中国向けも、同国からの強い需要により大幅に増加した。一方、米国向けは、同国の牛肉生産量の回復と豪州の牧草肥育牛肉の供給力低下により、同3.3%減とやや減少した。韓国向けは、米国産との競合や、韓国・豪州間の自由貿易協定に基づくセーフガードの発動などにより大幅に減少した。

2018年以降の生産量などの見通しを公表

豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は1月29日、「Industry projections 2018」において、四半期に一度の牛肉生産量などの見通しを公表した(表3)。2018年の見通しは次のとおり。

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牛飼養頭数(乳用牛を含む)は、ビクトリア(VIC)州とニューサウスウェールズ(NSW)州南部で順調に増加していることから、2755万頭(前年比1.1%増)と増加を見込んでいる。

と畜頭数は、牛飼養頭数の増加に伴い4年ぶりの増加が見込まれるものの、2017年の乾燥気候により牛飼養頭数の増加が遅れているクイーンズランド州では、牛群再構築のための雌牛保留などにより出荷頭数が抑制されることから、740万頭(同3.1%増)とやや増加を見込んでいる。

1頭当たり枝肉重量は、穀物価格の上昇に伴い穀物肥育牛飼養頭数の減少が見込まれることから、292.9キログラム(同1.7%減)と過去最高を記録した2017年からはわずかに減少するものの、比較的高い水準となると見込んでいる。

この結果、牛肉生産量は、216万7000トン(同1.4%増)とわずかな増加を見込んでいる。

輸出量は、生産量の増加に伴い104万5000トン(同3.0%増)とやや増加を見込んでいる。しかし、第2位の輸出先である米国で、同国の牛肉生産量が増加しているほか、中国で米国からの輸入再開や、ニュージーランドからの試験輸入の開始など、競合が高まっていることから、両国の動向が豪州の牛肉輸出に大きな影響を及ぼす要因になるとしている。

生体牛輸出については、生体牛価格の上昇やインドネシアの輸入制限的な政策により増加は見込めないとしている。

(調査情報部 大塚 健太郎)


				

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