需給動向 国内 |
29年の鶏肉および鶏肉調製品輸入量、いずれも過去最高を記録 |
平成29年12月の鶏肉需給を見ると、生産量は14万9614トン(前年同月比2.2%増)と前年同月をわずかに上回った。輸入量は、在庫調整で輸入量が減少した前年同月の反動から4万6473トン(同40.7%増)と前年同月を大幅に上回った。推定出回り量は20万6731トン(同5.9%増)となり、推定期末在庫は前月から1万644トンを取り崩したものの、16万7568トン(同14.7%増)と高い水準となった(財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
平成29年の鶏肉輸入量は、前年をやや上回る56万9466トン(前年比3.3%増)と過去最高を記録した。25年12月のタイ産の輸入解禁以降、ブラジルおよびタイ現地の旺盛な輸出意欲や日本国内の底堅い需要を背景に、輸入量は増加傾向で推移している(図5)。
国別に見ると、高い供給力と価格面で優位性があるブラジル産は、41万6811トン(同0.2%増)と前年並みとなり、全輸入量に占める割合は73%(同2ポイント減)となった。また、高度な加工技術に定評があり、カット製品などの割合が高いタイ産は、12万7268トン(同15.8%増)と前年をかなり大きく上回り、全輸入量に占める割合は22%(同2ポイント増)となった。
また、鶏肉調製品(加熱処理された唐揚げ、焼き鳥、サラダチキン、フライドチキンなど)の輸入量を見ると、コンビニエンスストアのホットスナックや、弁当、総菜など鶏肉調製品を用いた商品が増えていることから、増加傾向で推移している。特に29年は好調なサラダチキン市場を背景に48万6838トン(同15.4%増)と前年をかなり大きく上回り、過去最高を記録した。国別に見ると、タイ産は29万3425トン(同14.8%増)と前年をかなり大きく上回り、全輸入量に占める割合は60%(前年並み)となった。また、中国産は18万9632トン(同16.1%増)と前年を大幅に上回り、全輸入量に占める割合は40%(前年並み)となった。
この結果、鶏肉および鶏肉調製品の輸入量は合計で約106万トンとなり、初めて100万トンを超えた。
鶏肉の輸出金額および輸出量の推移を見ると、平成23年の東日本大震災や、度重なる鳥インフルエンザ発生に伴った輸出停止などの影響を受け、近年は伸び悩んでいるものの、長期的には増加傾向で推移している。29年は、輸出金額が19億7612万円(前年比14.8%増)、輸出量が1万4トン(同10.5%増)といずれも前年を上回った。その結果、31年の輸出目標(35億円、1万4000トン相当)の達成率は、輸出金額が56%、輸出量が71%となった(図6)。
なお、輸出のほとんどは日本では需要の少ないもみじ(鶏足)であるが、正肉(もも肉、むね肉)については、29年は香港向けに152トン輸出された。
農林水産省消費・安全局動物衛生課の発表によると、香川県さぬき市の家きん農場において、平成30年1月11日に高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)が確認され、発生農場では飼養家きんの殺処分などの防疫措置が施された。遺伝子検査の結果、H5N6亜型と判明し、当該農場および関係農場で飼養されていた肉用鶏約9万2000羽が殺処分された。
なお、1月14日に防疫措置が完了し、1月30日に搬出制限区域、2月5日に移動制限区域が解除された。
(畜産需給部 河村 侑紀)