需給動向 海外 |
◆豪州◆
生乳生産量は増加も、暑熱の影響が懸念材料
デーリー・オーストラリア(DA)によると、2017年11月の生乳生産量は98万5500キロリットル(101万5100トン相当、前年同月比4.3%増)と前年同月をやや上回った(図17)。7〜11月の累計も、431万4300キロリットル(444万3700トン相当、前年同期比4.3%増)と前年同期をやや上回った。
地域別に見ると、酪農主産地のビクトリア(VIC)州では、64万8600キロリットル(66万8100トン、前年同月比4.4%増)と前年同月をやや上回ったが、ニューサウスウェールズ(NSW)州など、多くの州では前年同月をわずかに下回った。
ただし、現地専門家は、VIC州をはじめとした東部を中心に、1月に記録的な猛暑が観測されたことから、暑熱による乳用牛へのストレスが、今後、生乳生産量に影響を与える可能性があるとしている。
豪州フォンテラ社は1月24日、VIC州とタスマニア州の7工場について、総額1億6500万豪ドル(148億5000万円:1豪ドル=90円)を投じて、処理能力の強化を図ると発表した。
このうち、1億2500万豪ドル(112億5000万円)は、乳業メーカー間の集乳競争が激しいVIC州北部に位置する、スタンホープのチーズ工場能力増強に投じ、年間生産能力を4万5000トンから8万トンに引き上げるとしている。
同社は、処理能力を強化することで、供給先を変更した酪農家から生乳を新たに受け入れるなどして集乳量を増加させ、日本や中国、東南アジア各国向けの旺盛な輸出需要への対応を図りたいとしており、同社全体の年間生乳処理能力を、現在の200万キロリットルから、250万キロリットル程度(豪州の生乳生産量の約3割)まで引き上げるとしている。
豪州気象局(BOM)は1月10日、2017年の気象についての総括を発表した。これによると、降雨量は、クイーンズランド(QLD)州やNSW州の内陸部では平年を下回ったが、全般に比較的潤沢であった。一方、気温は、1910年に記録を取り始めて以来3番目に高く、特にQLD州、NSW州では過去最高を記録した観測地点も見られた。
年が明けた2018年1月の気温も高く、VIC州をはじめとした東部を中心に記録的な猛暑が観測された。しかし、BOMは、1月25日に発表した3カ月予報の中で、2〜4月の平均気温は平年並みの水準に戻るとしている。
(調査情報部 竹谷 亮佑)