需給動向 国内 |
平成29年12月の生乳生産量は、61万917トン(前年同月比0.2%増)と前年同月並みとなった(図7)。内訳を見ると、都府県が28万512トン(同2.5%減)と22カ月連続で前年同月を下回ったものの、生産量の回復が進む北海道が33万405トン(前年同月比2.6%増)と4カ月連続で前年同月を上回った。
全国の生乳生産量の過半を占める北海道では、主産地である帯広や釧路地区などで前年同月を上回っており、着実に生産が回復している。一方、都府県では、東北や中国地方を除き前年同月を下回った。
用途別生乳処理量を仕向け先別に見ると、牛乳等向けは31万6096トン(同1.3%増)と3カ月ぶりに前年同月を上回った。一方、乳製品向けは牛乳等向けが伸びたことから、29万749トン(同1.0%減)と3カ月ぶりに前年同月を下回り、このうち脱脂粉乳・バター等向けは前年同月比5.7%減となった(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。
平成29年12月の乳製品の生産量については、脱脂粉乳・バター等向け生乳供給量の減少を受けバターは5295トン(前年同月比7.0%減)と前月に続き減少し、脱脂粉乳も1万2342トン(同5.7%減)と3カ月ぶりに前年同月を下回った。バターは、好調なアイスクリーム向けを中心にクリームの生産量が増加していることから、前月から減少幅が拡大した。同月のバターの民間在庫量は、2万1946トン(同8.1%減)と減少したものの、依然として、過去5カ年では2番目に高い在庫水準となった。一方、脱脂粉乳の民間在庫量は、輸入の増加により5万6089トン(同17.7%増)と大幅に増加した。
一般社団法人Jミルクが平成30年1月26日に公表した「平成30年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと当面の課題について」によると、北海道では生産の主力となる2〜4歳の乳牛頭数の増加が見込まれることから、通年で397万6000トン(前年度比1.6%増)とわずかに前年度を上回る一方、都府県では引き続き乳牛頭数の減少が見込まれることから、327万9000トン(同2.9%減)と減少を見込んでいる。このため、全国では前年度を0.5%下回る725万6000トンと予測している(表)。
また、乳製品については、脱脂粉乳・バター等向け生乳供給量の減少を受け、バターの生産量は5万9100トン(同2.9%減)となり、推定出回り量が7万2400トン(同2.6%増)と増加するとみられることから、30年度に市中に出回る輸入数量を加えても3600トンの不足を見込んでいる。脱脂粉乳は、生産量が11万9200トン(同3.0%減)、推定出回り量が13万9500トン(同1.0%増)と増加するとみられることから、2万300トンの不足を見込んでいる。
同日、農林水産省はバターおよび脱脂粉乳の安定供給を確保するため平成30年度の輸入枠を発表した。バターは29年度と同量の1万3000トンの輸入枠が示された。一方、脱脂粉乳は、ヨーグルトや飲料などがヒットしており、原材料としての需要が高いことなどから、2万7000トンの輸入枠が決定された。今回の公表により、各メーカーなどは製品生産の年間計画を立てやすくなり、需給は引き続き安定すると見込まれる。
(畜産需給部 山神 尭基)