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◆NZ◆
生乳生産量の減少により、乳製品国際価格は上昇
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2017年12月の生乳生産量は、262万トン(前年同月比2.6%減)と、今年度初めて前年同月を下回った(図18)。
生乳生産量の減少は、降雨量が平年を大きく下回ったためとみられている。12月の月間降雨量が10〜20ミリメートルにとどまった地域が多く、北島の一部では干ばつ宣言が発令されるなど、牧草生育環境の悪化が顕著となった。
現地専門家によると、今年度当初、多雨により牧草生育環境が悪化した際に、多くの酪農家が乾草の在庫を使い切ってしまっており、最近は補助飼料としてパーム油かすに対する需要が高まるなど、飼料の外部調達への依存が強まり、酪農の収益性が悪化している。
NZ最大の酪農協であるフォンテラ社は2017年12月、今年度の集乳見通しを、152万5000トン(乳固形分ベース、前年度比0.1%減)から148万トン(同3.0%減)へ下方修正した。1月上旬に一定量の降雨はみられたものの、同社は、乾燥状態の解消や、秋以降の生乳生産の回復には程遠いとしている。
ニュージーランド統計局(Statistics NZ)によると、2017年12月の乳製品の主要4品目の輸出量は、以下の通り、いずれも前年同月を上回った(表11、図19)。
中でも脱脂粉乳と全粉乳は、前年同月比の増加幅が大きいが、これは中国向け需要の拡大によるものである。中国向け輸出量は、脱脂粉乳は前年同月比5割増の2万9000トン、全粉乳は同1割増の11万1000トンとなった。
バターは、中国向けに加え、米国や中東各国向けが、引き続き堅調に推移したことで、また、チーズは、豪州や韓国向けが減少したものの、中国向けに加えて日本向けが増加したことで、ともに前年同月比でわずかに増加した。
2018年1月16日に開催された、乳製品価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(表12、図20)。
主要4品目は、いずれも前回から上昇した。現地報道によると、今回の上昇は、少雨に伴う牧草生育環境の悪化から、フォンテラ社が集乳見通しを下方修正したことによるものとみられている。しかし、EUや米国など、世界的な生乳生産量は増加基調にあるため、NZが最大の生産国である全粉乳を除き、乳製品国際価格は今後、下落が見込まれるとしている。
(調査情報部 竹谷 亮佑)