需給動向 海外

◆米 国◆

バター価格および乳価が下降


生乳生産量は10カ月連続で前年を上回る

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2018年1月24日に公表した「Milk Production」によると、2017年12月の乳用経産牛飼養頭数は、前年同月比0.5%増の940万1000頭となった。また、同月の1頭当たり乳量は、同0.6%増の870キログラムとなった。この結果、生乳生産量は、同1.1%増の818万4000トンとなった(図10)。

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同月の生乳生産量を州別に見ると、最大の生産州であるカリフォルニア州は、同0.3%減の152万9000トンとなった。一方、第2位のウィスコンシン州は、同1.0%増の115万5000トンとわずかに増加した。

2017年の生乳生産量は、乳用経産牛飼養頭数と1頭当たり乳量がいずれも前年を上回ったことから、前年比1.4%増の9771万8000トンとなった。また、2018年についてUSDAは、乳用経産牛飼養頭数と1頭当たり乳量の増加ペースがいずれも鈍化するとの見込みから、前月の予測値からわずかに下方修正し、同1.6%増の9924万6000トンと見込んでいる。

12月の乳価が2017年で初めて前年を下回る

USDA/NASSが2018年1月30日に公表した「Agricultural Prices」によると、2017年12月の全米平均乳価は、チーズやバターなどの乳製品の在庫量が増加していることもあり、前年同月比9.0%安の100ポンド当たり17.2米ドル(1キログラム当たり42円:1米ドル=110円)と2017年で初めて前年を下回った(図11)。

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酪農家のセーフティネットとされる酪農マージン保護プログラム(MPP)については、2017年は飼料コストの大きな上昇が見られなかったことなどから、生乳100ポンド当たりの収益は8米ドルを上回って推移したため、補てん金の発動はなかったものの、報道情報では、2018年は、飼料コストの増加と生乳生産増に伴う乳価の低下が見込まれることから、補てん金が発動される可能性も示唆されている。

12月のチーズ生産量は過去最高を更新

USDA/NASSが2018年2月1日に公表した「Dairy Products」によると、2017年12月のチーズ生産量は、国内外からの堅調な需要を受けて、前年同月比2.6%増の49万4000トンとなり、単月において過去最高を更新した(図12)。州別に見ると、第1位のウィスコンシン州が同2.6%増、第2位のカリフォルニア州が同0.1%増と多くの州で前年を上回った。

また、同月のバター生産量は、同4.2%増の7万7000トンとなった。

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バター価格は下降傾向

米国農務省農業マーケティング局(USDA/AMS)によると、2017年12月のバター価格は、前年同月比1.4%高の100ポンド当たり220.8米ドル(1キログラム当たり535円)となった(図13)。バター価格は、2017年1月以降前年同月を上回って推移しているものの、生産量が増加したこともあり、価格は下降している。また、チーズは同12.5%安の同180.3米ドル(同437円)、脱脂粉乳は同29.1%安の同70.1米ドル(同170円)となった。

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なお、2018年のバター、チーズおよび脱脂粉乳などの主要な乳製品の価格についてUSDAは、生産量の増加および需要減少を見込んで前年を下回るとしている。

(調査情報部 鈴木 浩幸)


				

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